5.紫の資金活動 ページ6
その後、話し合った結果、
桃っちの案が採用された。
みんなで募金活動をしよう、と。
それからはみんな行動が早かった。
各々の大学やバイト、仕事の合間に募金活動をした。
だから、別に紫原っちがそれをしてても何の不思議も抱かなかった。
その隣にいる人物を確認するまでは……。
バンッと強くたたきすぎて、廊下にいた看護師さんに睨まれた。
あと、赤司っち。
それに一瞬たじろぐも、
ここで引くわけにはいかず、負けじと自分は怒っているオーラを出す。
あまり意味はないけど……。
「どういうことっすかっ!!」
「涼くん、ここ病院。静かにしないと追い出されるよ?」
あ、確かに。ってそうじゃない。
俺が怒っている(つもりだけど)のも気にしない二人に、
まあ、ですよねと項垂れたくなるのを我慢する。
「昨日、紫原っちとAを見たんすけど!!」
「募金活動だろ」
「そうっすよ!!てか、やっぱり知ってるんじゃないっすか!!」
「涼くん、うるさい」
全く意に介さない二人に、もう我慢できず項垂れる。
何を思ったのか、水っちに頭をぽんぽんされる。
嬉しいんすけど、赤司っちが怖いからやめてほしい……。
「騙すなんて酷いっすよ……」
「別にだましてないよ?」
「……」
いやいや、それはあんまりだと叫ぼうとして、
水っちの隣の人が真顔でこちら見て(睨んで)いたので、声のボリュームが自然と低くなった。
「知らないって言ったじゃないっすか」
「力になれないっていっただけで、知らないなんて言ってないよ?
ちなみに、さつきも知らないって言ってないからね。一言も」
やたら、一言も、を強調され口を噤む。
記憶を手繰ろうにも、そうだったっけ?くらいしか思い出せず、
そもそも、記憶力でこの二人に敵うはずがないので何も言わないに限る。
はあ、とため息を水っちにつかれる
「な、なんすか?」
「ま、この際だから教えるけど、Aお見舞いによく来てくれるよ。
今までなんでタイミング被らないのかと思うくらい、よく来てくれる」
それを聞いた瞬間、思考が停止した。
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作者名:星蛍 | 作成日時:2018年9月5日 23時