21.日常に安寧を ページ22
登下校は赤司家に仕える執事さんの送迎。
家は大学近郊にある赤司家の別宅で寝泊まり。
(赤司家とも関係があるのでは?とか言われそうだが、その前に赤司くんが彼女の親友だと公言したので、そこは大丈夫だった)
セキュリティー万全なので、取材陣に写真を撮られることもない。
(炊事の際の材料は毎日私が大学に行っている間に赤司家の執事さんとかメイドさんが補充してくれているため、それも大丈夫だった)
ひなの見舞いでは必ず敦と赤司くんが一緒なので、報道陣に詰め寄られることもない。
(病院内もプライバシー保護を重視しているため侵入は不可能なので、そこも大丈夫だった)
何気平穏な日常を過ごしているように思えるが、そうでもなかった……。
大学に着き、まっすぐ講義室へ向かう。
その間でも感じる視線、視線、視線の数々。
気づかないふりをしながら、講義室に辿りつきドアを開ける。
その瞬間、集まるたくさんの瞳。
そそくさと講義室の端へ移動し、息を吐く。
「ねえ、あの子でしょ?」
「え、マジ?なんか普通じゃない?」
聞えてる、聞こえてますよ、斜め前の方々。
耳に入ってくるひそひそ話にうんざりし、
イヤホンで周りの声をシャットアウトして机に突っ伏す。
中学、高校と嫌というほど味わったこの状況。
大学ではないだろうと思っていたのに、先の一件であっという間に過去の状態と同じ目にあっている。
中学の頃よりは慣れたが、ひなみたいに全く意識しないとかいう芸当はまだ無理。
そのため、毎日毎日こうして精神的ダメージを少なからず受けていた。
今日の昼は敦と食堂で待ち合わせだったが、この分じゃ余計ダメージを受けるのは目に見えている。
申し訳ないが食堂はなしにしてもらおうとスマホを開く。
そのとき、窓際だったがために視界の端に映った黄色。
久しぶりに見た彼に思わず、動きを止めてしまった。
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作者名:星蛍 | 作成日時:2018年9月5日 23時