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17.冷や水を浴びせられ ページ18

紫原っちがいることをすっかり忘れていた俺達。というか、俺。
普通なら聞かれた内容に赤面するところだが、
紫原っちが発した言葉を理解した途端、冷や水を浴びせられたかのように熱がさめる。


「……えっと、え?」

「だからぁ、俺とAちん付き合ってるから告ってもダメだよ」


もう一度言われた言葉に、思考が停止する。

紫原っちの隣にいるAは何故か焦ったように、紫原っちに声をかけるが俺には聞こえない。

え、なに付き合ってる?
紫原っちとAが……?

いやいやいや、と思いながらもカフェに入る前の二人。
そして、病室で楽しげに会話をしていた二人。
路上で一緒に募金活動をしていた二人。

それを思い出して、どんどん体温が下がっていく。

た、確かにカフェに入る前はそうなのかなあと思ったが、
離しているうちにそれは勘違いじゃないかと思い始め、やっぱりAは……。

そこまで考えて、そもそもAからそんな確信めいた言葉をもらったことがないことに気づく。

だけど、大抵俺に好意を向ける女子の反応と……。

それも考えるが、水っちとは別な意味で他の女子とは違うことを思い出す。

え、じゃ、じゃあ、本当に……?

やっと理解してきたとき、紫原っちがAの手を掴んで立ち上がった。


「じゃあ、黄瀬ちん。話終わったみたいだし、俺達帰るねえ」

「ちょ、敦っ」

「あ……」


引っ張られるまま連れて行かれた、好きな人。

去り際、こちらを悲しそうな目で見てきたのを見て振られたのだと理解した……。


「……やっぱ、遅すぎたんすかねえ」


思いの外ダメージがでかすぎて声が震える。
視界もぼやけてきて、だめだと思うが自分の意志とは裏腹に涙が頬を伝った。
顔を右手で隠しながら、せめて声はと嗚咽を我慢する。



ずっと、好きだった___。

18.最適解とは......。→←14.たったひとこと……。



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作者名:星蛍 | 作成日時:2018年9月5日 23時

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