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12.当初の目的 ページ13

敦が私に荷物を手渡しながら、聞いてきた。


「ところで、話ってさっきの?」

「はなし?」


さっきのはくだらない言い争いというか、低レベルな喧嘩だったのだが……。

話と聞いて首をかしげる私を余所に、黄瀬は不機嫌そうに呟く。


「違うっすよ。今からっす」

「え、なに、話って」

「お前……なんのために病室を出たと」

「黄瀬がうるさかったからでしょ?」

「ちっがうっ」


大声で否定する彼に、隣にいた敦がうるさそうに耳を塞ぐ。
あれ?ついさっき、こいつも同じことしてたような……。

迷惑そうに顔を歪める敦に苦笑していると、
本日何度目になるかわからないが、また黄瀬に腕を掴まれる。


「もう、今度はなに……」

「だ、か、ら、話があるんす」

「私はないのに……」

「俺はある」


これ以上いてもまともに話なんてできないと思っている私と、
何がなんでも話そうと躍起になっている黄瀬。

話しの内容も察せるし、言われることもわかっているため、余計に嫌なのだが……。

助けを求めるように敦を見れば、携帯を少し見た後、こっちに来た。


「黄瀬ちん、二人がいくカフェって何が美味しいのー?」

「え、なんだろう?って、紫原っちも来るんすか?!」


助けてくれるのではなく、何故か一緒にいくという敦。

素っ頓狂な声をあげる黄瀬に対して、彼は眠そうに頷く。


「赤ちんに二人きりじゃ、喧嘩になるだろうからって」

「エスパーっすか……」

「さすが、赤司くん……」


見ていたかのような赤司くんの言伝に、顔を青ざめさせる私と黄瀬。

だが、ふと思い出す。


「敦、今日バイトじゃないっけ?」

「んー?今日は休み。昨日の人と交換したから」


そういえば、昨日はバイト日じゃなかったのにいたなあと思い出す。

そんな私たちのやり取りを見て、頬をひきつらせる黄瀬。


「ふ、二人って、ま、ままさか……」

「どうしたの?」

「い、いや、なんでもないっす」


明らかになんでもなくない様子の黄瀬。

困惑して敦を見るも、彼はあくびをしているだけだった。

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作者名:星蛍 | 作成日時:2018年9月5日 23時

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