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「ゆめのなかでね…ヴィルさんだけどヴィルさんじゃないような…素敵な方に会ったの…」
みんなの慌てっぷりを知らないナミは寝起きの声で、ポツポツと語った
ルークは無言でその話を耳に入れる
それはもう何かを探るように
「素敵な方って？」
「…ヴィルさんとおなじでとっても綺麗なひとなんだけどね…」
「うん」
「えがおがめがみさまなんだけどね…」
「うん」
「ひとみのおくがずっと悲しそうなの…」
ヴィルはナミの話に泣きながら頷いた
彼はその話を聞いてもう勘づいていたのだ
ナミにユニーク魔法をかけた存在に
「だからわたし、かれのねがいをかなえられるようがんばったの…」
ナミに救われた存在に
＿＿＿ああ…本当に私に会っているのね
「でもね…きになることがあって…ドレスにどうして黒い液体がかけられてたんだろう…誰かにかけられたのかな…」
「……」
「ブロット」
ルークが小さな声で呟いた。他の人には聞こえていない
ルークも薄々勘づいていたのだ
ヴィルのユニーク魔法が使える者…もうひとりのヴィル。つまり、オーバーブロッドした際のヴィルだということを
他のひとが犯人という答えは出てこなかった
それ以外、誰がポムフィオーレの寮長になった彼の高度な魔法が使えるというのか
なぜ、別個体として彼が現れたのかはルークにはわからないが…
「私はその答えを知っているわ」
…ヴィルはわかっていた
「ずっと…心に残っていた悩みがあったの…」
ヴィルはうつむき、自分の胸を撫でた
それはネージュに対する憎しみでも、美の頂点でもない
「その頃に悩んでいた私は“悪”だったのかって…」
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作者名：真灯
| 作成日時：2022年9月30日 18時
