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その日の夜。いつものように髪の毛を乾かしてもらって雑談をする。いつもの事なんだけど、私の心の中は混乱と困惑で大嵐だったから本当に普段通り出来ていたかは分からない。いつ話し出そうか迷っているとナワーブさんが「ちょっと、こっち来て」と私を呼んだ。
ギクリとしながらも床にあぐらをかいている彼の方に行く。そしてその目の前に正座して座ると「そこじゃなくて、ここ来て」と自身の太ももをぱしぱしと…太もも?
「えっ!?い、っいやいや!わたっ、私重いですし!」
「オメーなんか鳥の羽より軽いだろ、こっちの方が話しやすいからここ来て」
「いやいやいやいや…っ!」
「はぁ…じゃあお仕置きとどっちがいい?選ばせてやるよ」
「なっなんっ…!………ぐ、…し、つれいします…」
そんな非道な選択肢しかない二択なんてあっていいのだろうか、否、良くない。しかしお仕置きはできることならば一生したくない程辛かったので大人しく彼の足を跨ぎ、太ももの部分に座った。これは思ってた以上に、恥ずかしい…っ!
しかも上を向いたら胸を強調する格好になってしまうし、下を向いたらナワーブさんの瞳とかち合ってしまう。どこ向けばいいかもわからない格好で、さらにするりと腰の辺りに手を滑らされて抱きしめられるような形になってしまった。
「ちょ、ナワーブ、さん!恥ずかしいですって…!」
「なあA、お前さっきからなんかおかしくねぇか?」
その言葉に思わず表情を固まらせる。やはり周りをよく見ている彼のことだ、私の動揺しまくった心なんてバレバレだったのだろう。けど逆にこれは挨拶のことについて聞くチャンスでは…?腹を括るんだA…!
「あの…その、今日、ちょっと…」
「…簡潔に」
「っ今日、挨拶で口にキスはしないって聞いて…!」
「うん」
「…その、なんでかな〜…とか…思って………」
「そう」
思った以上に反応が薄くて拍子抜けする。その後紡ぐ言葉がなくて私とナワーブさんの間には沈黙が流れた。あれ…なんか嘘ついてるなら動揺するとか思ってたんだけど…。
しばらくそのまま見つめ合うとナワーブさんが突然「あはは」と破顔して腕に力を入れて私を抱きしめた。驚いて離れようとするが男と女の差は大きくミジンコ程度の抵抗だ。
首元にかかる髪の毛が擽ったい。ずっと震えているということは笑っているんだろうか。
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暁郗 - せんぱいナワーブ最ッッ高でした。もっとああいうの出して欲しいです、性癖にストライクしました。 (2021年5月3日 23時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 好きやぁ( ˘ω˘ ) (2020年4月8日 20時) (レス) id: 7d1a9cae04 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - ここさん» コメントありがとうございます!月相イライくんのお話ですかね、、!?ずーっと温め続けてきたお話ですので気に入って頂けたようで私も嬉しいです!応援もありがとうございます!なんとか乗り切りました!笑リクエストもぜひ!いつでもお待ちしております(´∀`) (2020年2月23日 4時) (レス) id: d10d29f4b8 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - かのはさん» コメントありがとうございます!!友人以上恋人未満のお話が大好きなのです、、笑 お楽しみいただけたようでよかったです!応援もありがとうございます!頑張りすのでこれからもよろしくお願いします! (2020年2月23日 4時) (レス) id: d10d29f4b8 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - 最新話もめちゃめちゃ好きでした!!前から全部好きです…試験などなど頑張ってください(´;ω;`)くれぐれも無理のないよう…(´;ω;`)!リクエストしたいんですが、伝える語彙力がなく…!!!語彙力育ててから出直してきます…!! (2020年2月13日 4時) (レス) id: 9ad3d16544 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フルリ | 作成日時:2019年10月14日 10時