3.一人を捕まえて ページ39
素直なその言葉にオビは心で白旗をあげる。しょうがないなあ、常に意地張っている反動でこうなっているのだろう、しかしこういうのはたまにでいい。毎回されたらちょっと、心臓がもたない。
だけどこうなっている彼女も珍しい、酒の力もあり人肌が恋しいんだかよく分からない悲しみに暮れているのか。
「んん〜〜…」
「……ほんとに猫みたいだな」
「…オビさん」
「んー？」
「どこにも、いかないで…」
その呟かれた悲痛さに何があったのか、と疑問に思うがきっと訊いても答えてくれないだろうので「どこにも行かないよ」と返しておいた。寧ろそれを危惧するのはAの方だろう、現に一度消える消えないの渦中にいたのは彼女だ。
存在を確かめるように彼女の名前を呼んだ。ちゃんと返事が返ってきて安心する。
「何かして欲しいことあるかい？今だけだからね」
「…しゅっけつだいさーびす〜」
「ん、んん？出血？え、死ねって？」
「…ぎゅって」
「してるじゃん」
「…きす…」
「俺が止まれなくなるからダメ」
「…………そのさきは…？」
「美味しいお誘いだけど、酔っ払いを相手にするつもりはないよ」
そう言ったら「よってないもん…」なんて舌足らずの声で言われなんの説得力もない。よしよしと頭を撫でると黙ったのでそのまま続ける。指通りのいい髪を梳かしながら撫でているといつの間にか寝息が聞こえてきた。甘やかそうと思ったけど何もしなかったな、そんなことを思いながらオビも目を閉じる。せめて、彼女が起きるまでは抱きしめておいてあげよう。
きっと明日の朝起きて驚くんだろう、それを笑いながらからかってまた新しい日々を紡いでいく。…不安は取れないものだ、前にもこんなことがあった気がする。最近は眠れているのだろうか。
頼ってくればいいのに、と思いつつ彼女はまた一人で抱え込むんだろう、溜め込みに溜め込んだら…そうだな、また酒でも盛ってこんな状態にさせてしまおうか。話さないアンタが悪いんだよ、そう呟いて身動ぐ彼女の額にキスを落とした。
▽△
「ゔ……」
「あ、起きた」
「…………ッオビさん！？っい〜〜…！」
「ははは、辛そうだねえ。昨日のこと覚えてる？」
「は…昨日？」
「そ、あんなにしがみついてきて可愛かったんだけどなあ」
「！？なっ……！っあ、違、思い出した」
「そりゃ残念…アンタあんまり他の人の前で酒飲まないで」
「え？」
「次やったら次の日立てなくするから」
「！？！？！？」
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あおぐ(プロフ) - コメント失礼致します。こちらの作品が大好きでもう何度も読み返しています。素敵な作品をありがとうございます…！ (2019年11月10日 17時) (
レス) id: 1e472b0bf1 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - お久しぶりです;;;すみません今少し多忙で返信返せておりませんでした…。実はコメント頂いた日に物語読ませて頂きました(照)感想と、収まりきらない思いをメールで送らせて頂きます…！ (2019年9月12日 21時) (レス) id: d10d29f4b8 (このIDを非表示/違反報告)
ちぎょ(プロフ) - フルリさん» そだ、調子に乗ってちぎょもオビさんの話を書きまして、あとがきでトリップガールへの思いを綴らせていただきました、すみません許可もなくm(__)m これから夏本番ですね、熱中症にお気をつけて！フルリさんの日々を応援しております* これからもよろしくお願いしますっ (2019年7月30日 22時) (レス) id: 142b2f8cf6 (このIDを非表示/違反報告)
ちぎょ(プロフ) - フルリさん» わああ！フルリさんーーーお久しぶりです！！めちゃくちゃ嬉しいなんて日だ！！お元気そうでよかったです(*´∀`) あらためまして、ちぎょは当たって砕けろトリップガールが本当に大好きです。長い間お疲れさまでした、完結ありがとうございます！！ (2019年7月30日 22時) (レス) id: 142b2f8cf6 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - かめさん» コメントありがとうございます！全部読んでいただけてとても嬉しいです！！これで小説は1度区切らせていただきますが、また何かの機会がありましたらよろしくお願いします！ (2019年7月30日 13時) (レス) id: d10d29f4b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フルリ | 作成日時：2018年4月29日 11時
