冗談は２次元だけにしてもらえます？３【沖田総悟】 (ページ11)

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第８９話ページ11

「……行っちゃった」

まだ少し温もりが残る膝を撫でる。

私達が生きる今はミライにとっての過去で、ミライのいた5年後は私達にとっての未来。
「過去は変えられないけど未来なら変えられる」とはよく言ったものだけれど、ある意味その通りだったと思う。

失ったものも戻らず自分も消えてしまうのを承知でミライが"過去"を助けてくれた代わりに、私達は未来を変えることができたのだから。

(未来と今の戦いはこれで本当に終わった。ただ……)

ただ、ミライが最後に言い残していった言葉が引っかかる。

("二人"って、なに？)

察するにその"二人"とは、私と総悟のことを指すのだろう。問題なのはそれが表す関係性だ。
二人三脚のペア的なものか、お笑いコンビのような意味合いか。あるいは、カップルという意味か。

ううん、それは流石に妄想が過ぎる。思い上がりもいいところだ。夢小説じゃないんだから。

『あいつ絶対Aの事好きアルヨ』

『それだけ君を想っているということではないのか』

……本当に妄想、なのかな。

ああ、わからないよ。

「二人ならって、どういうことなんだろ……」

独り言みたくこぼしたつもりが、どうやら聞こえていたらしく。

「お前は見当つかないってのか」

少し抑えた低音の問いが返ってきた。
傍らに立つ総悟はこちらに背を向けていて、その表情は見えない。

「えっと、あれこれ可能性を考えてはみるんだけど断定できないというか……」

歯切れの悪い答えを返せば、沈黙が広がる。

う、まずかったか。こんな時に限って察しが悪いとか、バカだと思われたのかもしれない。個人的には鈍感だとか空気読めないとか、そういうタイプではないと思ってるんだけど。

「……わからねェなら、教えてやる」

「教えてやるってどう＿＿」

言い終わる前に総悟の手が私の左腕を掴んだ。

ぐいっと引かれた勢いで立ち上がり、気がついたら私は総悟の腕の中に収まっていた。

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お久しぶりです。
課題やらなんやらで忙しかったのも一因ですが、ここが一番の山場なので下手に書けないのです。
もう少しストックができればまた…。
そして銀さん、お誕生日おめでとうございました！

2022年 10月