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南大路Aを、良くも悪くも“男”だと、そう月詠は思っていた。それはきっと、彼が初めて月詠に“女”を突きつけたからだろう。









▽▲▽









日輪が、自分には見せた事のない幼い笑顔で笑う相手。なんとなく、気にくわない。
彼を見てはそう思っていた月詠が、初めて彼と直接言葉を交わしたのは地上よりも幾分か寒い冬が来た時。



『寒い。動く気にならへん。嫌やわあ。冬って僕ほんま嫌いやねん。』



あまり馴染みのない京都弁で話しながら、自分が知る限りいつも日輪の隣にいたその男は、日輪ではない女を抱きしめていた。吉原に来る男なんて、そんなもの。これからどうするかが分からない年頃ではなかった。



「泊まっていってくださいな。その分、お代は頂戴しますけど。」


『あはは。ええよええよ、たっぷり貰っといて?ほな、行こか。
…あれ?』





そこでやっと自分に気付いた彼は、少し、ほんの少しだけ目を細めてジッと見つめてきた。





「な、なんじゃ。」






『いやあ、女子(おなご)の顔に傷を作るなんて、何処の色男や思うてさ。…贅沢な奴。』







確かに彼は自分を見てそう言った。周りには聞こえない、月詠だけかろうじて聞えた程の小さな声で。しかし、どうしてだろう。彼と確かに目が合っているのに、彼は自分を見ていない。誰かに重ねられるなど、それほど屈辱的な事はない。




「失礼な男じゃ。そうジロジロ見つめるな。」




それ程自分の地位が高いわけではない。客に対してそんな口を聞いたら、その男の隣に立っている遊女に叱られるなんて当たり前。なのに。




「月詠!あんたきつねさんに何言ってんだい!!」


『…あははっ!』


「き、きつねさん?」



大声で笑った、きつねさんと呼ばれた男。拍子抜けした。こんなにも大きな声で、こんな風に子供らしく笑うのか。吉原に来る醜い大人には、見えなかった。



『ははっ、よう言うたな餓鬼!将来絶対ええ女になるわ!僕が保証したる。名前は?』


「月詠…、」



月詠…。と自分の名前を小さく口にした彼は、しゃがむと小声で囁いた。






『月詠。…花魁なんか、目指すなよ。』





思わず、目を見開く。
別に花魁を目指してなんかいない。日輪の側で、日輪を守れたら。幼い自分は、それが軽い依存だなんて分からない。




「わっちは別に…!」




今なら分かる。きつねの坊はわっちが花魁になれないことを分かっていた。なのに。

…本当にムカつく男じゃ。

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設定タグ:銀魂 , 男主 , 万事屋・真選組・春雨・吉原   
作品ジャンル:アニメ
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あきな(プロフ) - 面白いです!更新大変だと思いますが頑張って下さい!!応援してます!!! (2017年9月29日 21時) (レス) id: a03d3f2ed8 (このIDを非表示/違反報告)
空白 - 俺こうゆうの超好き!!!!!! (2016年6月18日 0時) (レス) id: 46538a2eea (このIDを非表示/違反報告)
夏凛 - めっちゃ面白いです! (2016年4月12日 1時) (レス) id: b1b68a76c0 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - え?終わり?そんなわけないですよね!更新頑張ってください! (2016年3月31日 15時) (レス) id: 131cdd29b3 (このIDを非表示/違反報告)
潮音(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください!応援してます! (2015年11月8日 19時) (レス) id: 05ac5cb1f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とまと侍 | 作成日時:2015年10月21日 1時

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