四百十通目 ページ11
軍医室の扉を乱雑に開くと、そこには諸々の幹部が全集合──どころか、何故か呼んだはずのない面々まで揃っており、室内は人の頭だらけになっていた
思わずその光景に口を開けるけれども
「兄さん！久しぶり！」
「おー兄さんやー」
等と燥ぐ怪我人三名がこぢんまりと着席しているのを視界に捉えると、関係のない輩達を押し退ける勢いでずんずんと足を踏み入れるのだった
そして彼等の前にそれぞれ、一瓶ずつポーションを突きつけ
「これ飲め」
と、簡潔に命令するのだった
しかして当該の三名は、ぎょっとしたように顔色を曇らせるのである
「げっ、何この赤色の奴」
「え、血？」
当たり前のことだ
星屑のように輝く赤い液体なんて、生涯で見たことが無いであろうに
更にそれを嚥下しろと言われているのだ
未知の物体にふれるのすら嫌だろう
「いいから、飲め！」
だが兄さんは引く気を見せることなく
半ば強制的に瓶を傾けることで、飲み口をコネシマの口に突っ込むのだった
「んぐぇっ？！」
瓶中の液体が、コネシマの中へと流れていく
彼はえずいて口の端から赤い汁を垂らしながらも、抵抗できずにソレを飲み込んでしまった
シッマー！と、まわりから心配の声が飛ぶけれども
──一番に正気を取り戻したのは、コネシマ本人だった
飲み込んで数秒
口元を腕でぬぐうと、首を傾ける
何かがおかしいな、違和感があるなと、疑問に思っているのだった
しかしそれが何かわからないように、兄さんの顔を見上げた
兄さんは、何も言うことなく
無言で何かを肯定するように頷く
外野はその意味のわからない光景を、訝しげに、あるいは青ざめた顔をして見ていたけれども
──周囲の不安、様々な感情が一瞬で、無心に変わるのだった
自身の手足を見つめた、コネシマが
片足の機能が完全に停止し、自立すら誰かの助力がなければいけない彼が
ゆっくりと、椅子から立ち上がったのだから
皆はただ唖然として、目を見開き口を開けることしかできないのだった
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アンバ(プロフ) - (みたら士)神様､小説を創ってくれてありがとうございます｡ (2021年5月9日 1時) (
レス) id: 04b4947088 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 後輩くん…！個人的にはキャラ揃って大喜びしてます。最近更新多くて通知を見るたびに発叫してます。ですが、無理はなさらないように… (2021年5月9日 1時) (レス) id: 6bc5efe30d (このIDを非表示/違反報告)
シャノ(プロフ) - 最近更新増えて嬉しいです。 彼ですかね、、、！ 更新ありがとうございました！ (2021年5月8日 22時) (レス) id: f15c4b37e0 (このIDを非表示/違反報告)
Contrast(プロフ) - 本当にお話一つ一つが素敵で大好きです！無理のない更新で頑張って下さい！ (2021年5月8日 7時) (レス) id: 8384124a90 (このIDを非表示/違反報告)
アンバ(プロフ) - 本当に大好きすぎる…！読者をどれだけこの作品はびっくりさせてくれるんですか！更新ありがとうございます！！！ (2021年5月8日 4時) (レス) id: 04b4947088 (このIDを非表示/違反報告)
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