四百九通目 ページ10
コネシマはもう、戦うことはできない
無理をすれば、その片足を切断しなければいけない可能性が浮上してしまうのだ
これから先、万が一のことが起こり傷口から壊死してしまうことだってあるのだから
そうなれば、おとなしくしている他はなく
故に今は、軍兵の育成に専念しているという
ゾムと大先生は、幸い動くことは可能のようで
しかしかつてのような機敏さは欠けられており、斥候等の役割はもう担えないであろう
二年経過したといえど、三名ともに人体を銃弾が貫通したのだから、そう簡単にどうこうなる話ではない
「──ショッピ君は今、生きながら死んでいるようなものだ……我々の都合と了見で、そんな地獄に居させ続ける訳にもいかないだろう」
──ここいらが、潮時なのだと
グルッペンは、端的に
しかし辛く、悔しそうに言った
不条理に屈して顔を歪め、俯くその様に
何か批判を投げられるわけもない
悔しいなんて、当たり前だろう
生きている彼を見殺しにしなければいけないのだから
二年の間に、後輩が二人も死にゆいてしまうのだから
そんなの理不尽が過ぎる
しかし仕方がないことだった
幹部といえど、ただの人間
超能力を使うわけでも、不老不死な訳でもない
不可思議な魔術は放てないし、人より回復が早いわけでもないし、死ぬし
人並みより力量が抜きん出ていて、偉いだけの存在なのだ
だから、死んでしまうことになったって──
──回復が、早い？
「──ッグルッペン、今大先生とかゾムとかシッマとか、何処おる」
「え、あ、何故」
「いいから！」
困惑した彼を真面目な顔して一括しながら、兄さんは真摯な目で彼を見た
トントンも何事かと慌てているが、今は気をかけてやる時間がない
「た、多分訓練場とか……自室にいると思うが」
「全員ショッピ君居る軍医室に呼べ。今直ぐ」
そう言うが早いか、兄さんは部屋から駆け出していた
廊下ですれ違うメイドが会釈を向けてくるのも、久方ぶりの幹部が嬉しそうに片手を上げて挨拶してくるのも、全てを振り切って
息を切らして棟を降り、城門付近へとやってくると
先程停車させた馬車の荷台に飛び乗って、木箱を漁り
──その中から【治癒】を四本、その両手に抱えると
また、軍医室へ向かって走り出すのだった
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アンバ(プロフ) - (みたら士)神様､小説を創ってくれてありがとうございます｡ (2021年5月9日 1時) (
レス) id: 04b4947088 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 後輩くん…！個人的にはキャラ揃って大喜びしてます。最近更新多くて通知を見るたびに発叫してます。ですが、無理はなさらないように… (2021年5月9日 1時) (レス) id: 6bc5efe30d (このIDを非表示/違反報告)
シャノ(プロフ) - 最近更新増えて嬉しいです。 彼ですかね、、、！ 更新ありがとうございました！ (2021年5月8日 22時) (レス) id: f15c4b37e0 (このIDを非表示/違反報告)
Contrast(プロフ) - 本当にお話一つ一つが素敵で大好きです！無理のない更新で頑張って下さい！ (2021年5月8日 7時) (レス) id: 8384124a90 (このIDを非表示/違反報告)
アンバ(プロフ) - 本当に大好きすぎる…！読者をどれだけこの作品はびっくりさせてくれるんですか！更新ありがとうございます！！！ (2021年5月8日 4時) (レス) id: 04b4947088 (このIDを非表示/違反報告)
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