三百五十一通目 ページ2
Aが上階に行ったのを見届けると、朗らかに笑っていた大人二人はやけに神妙な顔をして向かい合うのだった
「そんじゃ、品物の話を──」
兄さんが毎度のように荷運びについての話を始めようとすると、くられはやけに重苦しい空気を醸し出して
「兄さん、折言って頼みがあるんだけれども」
と、彼を静止させる
驚いたように兄さんは、口元に珈琲カップを運びながら、二、三瞬きをした
彼がこんなにも真摯に何かを言おうとしているのは珍しいことだ
それどころか、兄さんに頼みごとをすること自体が、もしかしたら初めてかもしれない
飄々と、まるで大先生の様に手の内を明かさない彼なのに
「どうかしたん、くられ先生」
兄さんは一口珈琲を飲むと、彼の面の奥を伺うように目を合わせた
「……ヴィル君を、兄さんに託したい」
──一瞬、思考が停止した
何を言っているのか理解できず、呆然と彼を見ているのみで
託す？誰を
ヴィルを？
自分に？
と、だんだんと明白になっていく言葉
語句意味を理解していく中で、疑問が生じる
「……は？」
一体何が言いたいのか
何故そんなことを言い出すのか
そんな説なる問いだった
「ヴィル君は、このままここに居ちゃいけない……そう、思ったんだよね」
──あの娘は、【治癒】のポーションを完成させた
続けて告げられた言葉に、兄さんは目を見開く
【治癒】を？完成させた？
あの年端も行かないような、若い美空の娘が？
くられが長年大層頭を悩ませた、苦渋の種の【治癒】を？
理解が及ばない、それでもくられはぽつぽつと語るのである
──彼女が【治癒】を完成させたとき
治っていく怪我を見て、瞬間くられは全てを理解した
遺伝か何かはいざ知らずとして、やはり才ある者は存在するのだと
やはり彼女は、類稀なる技術を持っている
その身を案じたくられは、彼女を一部の場所に置き続けることが危険であるという認識に至ったのだった
故に兄さんに、Aを連れて行くように提案している
「彼女の技術は、いつか広まる。そうすれば、狙う輩がわかない訳じゃない。それなら、一箇所に──ここにとどまっていると、危ないんじゃないかってね」
つまり、そういうことである
ここで大輪となった彼女の才能を何処か、活かせる所へ連れて行けと
くられはそう、言いたいようだった
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萌木 - もしかしたら意図的で、この先の話を読んでいないのでそんなに偉そうに言えないですし、このコメントが届いているのかもわからないですけど、 三百七十六通目の最後、兄さんはヴィルヘルミナの名前しか知らない筈です。 ご確認お願い致します。 長文失礼致しました (2022年7月8日 17時) (
レス) @page27 id: 7b477ee6df (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 心の中で盛り上がってまいりましたと踊っています。主人公がうっに再会できること心より楽しみにしております。 (2020年1月22日 23時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
歌い手総推し！&外資系と書記長寄りの箱推し！ - とうとう運命の瞬間が…！niさんと夢主ちゃんはどのような反応をするのか…楽しみに待っています！ (2020年1月22日 13時) (レス) id: 6e4f801f19 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 茶葉さん» （コメントの検索避けありがとうございます）二人の関係がどう動くのか……夢主の運命は……どうぞ楽しみにお待ちください (2020年1月21日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - しゅがーさん» そろそろ�修砲眛�りますし、物語は展開を続け……この質問が一体どうなってしまうのか、ご期待しつつお待ちくださいな (2020年1月21日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
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