三百五十二通目 ページ3
そうして二人はその後、荷積みの話に路線を戻した
その間Aは粛々と持ち物を揃えていて
どれが必要なのか、選別をしていた
持っていく物は、かつて鬱先生に貰った服、武器類
専用の鞄にはポーションを様々入れこんだ
少し重いが運べないことはない
あとは手帳だとか、そんな些細なものだ
あまり持ち物が増えるといいことはない
──大荷物になると、隠れて抜け出そうとしているのがくられ先生にバレてしまう
荷物をまとめると、Aはそれらをクローゼットの中に隠した
そして残りの時間で、紙に文字をしたためる
そこに書き始めたのは、それぞれのポーションの制作方法だった
材料、分量、エトセトラ
どうすれば何ができるかなどなど
──付加属性についても、一応書いておいた
【耐火】についてと、他に現れていた【別の付加】についてを
事の顛末だけで、制作方法が不明であることも
全て全て、余すところなく書き込んだ
秘密も秘法も秘策も全て、書いたのだった
彼が作ったポーション技術を持ち出すことはできない
彼のおかげでAは治癒を作れたのだから、あたりまえの所業であろう
そうして書き終えた紙──何十枚にもなってしまったものを紐でまとめて
机の引き出しにしまいこむと、下の階から
「話終わったから降りてきていいよ〜」
と、間延びしたくられ先生の声が、ちょうど聞こえるのだった
これから彼を騙すというのが忍びない
──誰かを利用するというのが、申し訳ない
それでも仕方ないかと腹を決めて
「今いきます！」
と声を張り、Aは階段を下り行くのだった
「あ、ちょっと研究の残り仕上げちゃうね」
昼過ぎ、午後四時に差し掛かった頃
皆で机を囲んで兄さんの旅の話やここ一年の研究のことなど話していると、ふとくられ先生がそう言って席を外した
二人で話していていいよと笑った彼を見送る
静寂がその場を支配した
しかしふと、話を切り出したのはAのほうで
「兄さん。お願いが、あるのですが」
とやけに神妙な面持ちで、話し始めるのだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1969人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
萌木 - もしかしたら意図的で、この先の話を読んでいないのでそんなに偉そうに言えないですし、このコメントが届いているのかもわからないですけど、 三百七十六通目の最後、兄さんはヴィルヘルミナの名前しか知らない筈です。 ご確認お願い致します。 長文失礼致しました (2022年7月8日 17時) (
レス) @page27 id: 7b477ee6df (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 心の中で盛り上がってまいりましたと踊っています。主人公がうっに再会できること心より楽しみにしております。 (2020年1月22日 23時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
歌い手総推し！&外資系と書記長寄りの箱推し！ - とうとう運命の瞬間が…！niさんと夢主ちゃんはどのような反応をするのか…楽しみに待っています！ (2020年1月22日 13時) (レス) id: 6e4f801f19 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - 茶葉さん» （コメントの検索避けありがとうございます）二人の関係がどう動くのか……夢主の運命は……どうぞ楽しみにお待ちください (2020年1月21日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - しゅがーさん» そろそろ�修砲眛�りますし、物語は展開を続け……この質問が一体どうなってしまうのか、ご期待しつつお待ちくださいな (2020年1月21日 20時) (レス) id: 88ea3ab685 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
