百五十通目 ページ1
兵士に囲まれて連行される
周囲にいる軍兵は、まだ対面していない下級兵である故に、私のことを知らないようだった
手に嵌められた枷が重くて、それがさらに私の怒りの度合いを増していく
──状況をまともに判断せず、成績の良いものを優遇する教師陣
前方を歩くリイカは、怒りより怯えが混ざっているようだった
連れられていくのは、牢ではなく総統室
学生であるからという配慮だろうか
そんなものはいらない
この邪魔な鎖をどけろ
兵の様子を見るに、グルさん──総統には、不敬罪を犯した生徒がいるとのみ伝えてあるのだろう
まさか私もこんなことになるとは思っていなかった
こんなのでは、日々の行動すべてに配慮して行動しなければ、私だっていつ首が飛ぶかわからない
──任務中故に幹部であることをあかせないから、不敬罪として扱われる
正しく言えば、不敬罪を犯したと言われているのはリイカ
私は共犯的な立ち位置なのだろうか
思考すれば、眼前にはもう見慣れた総統室の扉が
リイカとともに、押し込むような形で中に入れられた
総統の執務机と、その両隣に立つトントン様とオスマン様
両者共私を視界に捉えると、一瞬驚いたように目を見開いた
しかし他兵の手前、常に威厳のある姿を見せていなくてはいけない
鋭い目つきに切り替わると、後方に控える兵に下がるよう命じた
「懲役を言い渡す」
通常、幹部に対する無礼は、裁判等なくその場で決定される
国のトップに対する行動は、命一つ左右するのだ
「通常ならば、そうしていた」
思わず目を見開いて、総統を見た
リイカも同様に、怯えながらも驚いている
「学生ということもある上、状況が状況だ。無罪ということにしよう。シャオロンも、大して怒ってはいないようだからな」
「え……あ？」
状況がのみこめていないらしいリイカが、言葉を声に出せないでいる
「退出して構わない。衛兵、門まで連れて行ってやれ」
「──ただし、不敬罪と疑われた者だけだ。連れとして来た者の罪は、まだ晴れていない」
要約すれば、今日はもう学校に戻ることなく、ここに残れということだろうか
リイカが心配したように私を見るから、
『安心して』
と笑いかける
彼女も兵も退いて、幹部しかいない室内に、静寂が灯る
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1611人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
檸檬 - めちゃくちゃ面白いじゃないですか。返してください、私の腹筋（）。番外編で夜中なのに「ゲルテェェェェェェェ！（感涙）」って叫んじゃいました。 (2021年5月23日 1時) (
レス) id: 1448aeacc9 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 最近更新が多くて嬉しいです。ありがとうございます。これからも応援しております。 (2019年10月14日 1時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
ホタテおいしぃ - 熱い展開になってきましたね！ (2019年10月5日 11時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
nia(プロフ) - 更新待ってました！！！ (2019年9月29日 21時) (レス) id: dcff59daa3 (このIDを非表示/違反報告)
るるりぃ - ココラさんと同じく何故か胸が苦しくて・・医務室から逃げる場面から涙が出ました。更新頑張ってくださいね！みたら士さん！ (2019年8月28日 23時) (レス) id: 4b45e1db41 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
