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・中也視点
御察しの通りエリス嬢と首領の着せ替え人形と化したAは様々な洋服、和服を着せられていた。
エリス嬢は色んな服を着たAを見て大はしゃぎだし、忙しなく「次は此れね!」と洋服を差し出しては着替えさせる。
首領は、楽しそうに跳ねているエリス嬢とAが可愛いのか、只管携帯端末で二人を撮っていた。
もう何も云うまい。
「眼福…」
「……首領。割と冗談抜きで、Aに邪な目を向けていたら太宰が殺しに来ますよ」
「向けてないよ!!まあ後々此れは太宰君への切り札の様な物になるからね」
「?」
……今現在は袴を着ている小さなAの、履き慣れて無さが何とも云えない。
まあ確かに可愛い、と云うのだろう。服に着られている状態と云ってもいいが、成長すれば背広でも和服でも何でも着こなせそうな顔立ちにはなっているのだ。
こういうAの姿を堪能出来るのは今だけだろう。
「ふふふ、こうして見ると、エリスちゃんとA君は姉弟の様だねえ」
「ええ。エリス嬢も可愛がってる様子ですし」
「其れで中也君?太宰君から何か情報は聞いているのかね?」
「……三日間はあの姿の様ですね。マフィアの構成員が襲われたのが数日前。恐らくは戻るのにあと1日か、もう今日にでも戻る奴は戻るでしょう」
事の経緯を首領に説明した。
人生の転換期となった年齢の姿に戻す写真機。其の犯人から効能。
和泉秀貞という名前に首領は聞き覚えがあった様で、資料を暫く眺めていると、「嗚呼、以前武器の取引をした男だね」と呟いた。
「通りで、マフィアの構成員しか知らない武器管理庫の近くで構成員が幼児化していた訳だね。以前、其の近くで和泉と取引をしていた事がある」
合点がいった様に頷く首領は「今度から他の取引先にも場所を変える様に伝えよう」と云う。
目の前できゃいきゃいと黄色い声で騒ぐ子供二人を眺めながら話す内容は、至極不健全だ。決して聞かせられたものではない。
「中也君」
「はい」
「三日間A君のこと頼めるかい?早めに帰れる様に調整するよ」
「……ええ。お願いします」
何処か懐かしむ様に目を細めた首領が、何か思うところがあるのかそう云った。
「私も其処まで鬼では無いからね。私と出逢わなかったら、厄介な事に巻き込まれなかったかもしれないって、思う事もあるんだよ」
……ええ。其れは俺も。そう思う時が、時々ありますよ、首領。
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遥@携帯の調子悪くて返信遅れます(プロフ) - コメント一括にて失礼します。最近携帯の調子悪いので…皆様お待たせしました。次の話でとりあえずは彼の話は一旦終わりとなります。最後まで書き切りますので、それまで見てくださると嬉しいです。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
至恩(プロフ) - お久しぶりです!わーい更新だー!って通知見て思いました! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 77907255a2 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の死神(プロフ) - わわ…!更新待ってました!これからも頑張って下さい! (2019年10月13日 1時) (レス) id: eb1a5cc196 (このIDを非表示/違反報告)
或 - どストライクで大好きな作品です!応援してます!! (2019年9月27日 13時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
フェルト - すごく大好きです!頑張ってください! (2019年9月26日 18時) (レス) id: 00cb91440a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2019年2月15日 19時