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・太宰視点
怒涛の勢いでAを連れ去られて数時間、中也から夕刻には帰すという言葉を聞いても、探偵社では全然落ち着けずそわそわとしていたら国木田君に怒られてしまう位には心配だった。
森さんの事だ。あの子に危害を加える事はしないだろうけれど、恐らく連れ去られたのはマフィアの総本山であるビルだろう。落ち着かない訳が無い。
そろそろ陽も落ちて来て、中也の言葉通りなら帰して貰う時刻になった。
その時丁度電話が鳴って、着信相手を見たら蛞蝓と表示されていて安堵する。
「……Aは?」
『開口一番其れかよ…勿論居るよ。寧ろ首領にも姐さんにも死ぬ程可愛がられて今此奴へとへとなんだ。安心させてやれ』
探偵社の窓の外を見れば、建物前に中也と中也に抱えられたAの姿が見える。
大急ぎで外套を羽織って、荷物も机の上も纏めて全員に「お疲れ様!」と挨拶をしたら「お疲れ様でーす!」とニコニコと見送られた。
一日中ソワソワしていた所為なのか、生暖かい視線だった気がする。私らしくもないけれど、友人の事なのだ。焦るに決まってるじゃないか。
駆け足で中也とAの処に駆け寄って、「A!」と大きな声で呼ぶ。
私の声に気付いたのか、「だざいさん」と一寸疲れた声ながらも、少し嬉しそうに手をAは振り返してきた。
中也からAを受け取って、力強く抱き締める。
「だざいさん苦しい」とAは云うが、声色は何処か嬉しそうだった。
呆れた様な顔をする中也は「十年振りの再会みたいな場面になってんぞ」と笑う。
だって本当に心配だったのだ。
「大丈夫?森さんに変な事されてない?若しもされてたら私が滅するから云ってね」
「? 何もされてないよ。寧ろきれいなお姉さんといっしょに、たくさんおかし食べさせてもらった」
「一寸中也!うちのAがお菓子の食べ過ぎで太ったら如何するの!!?責任取れるの!!?」
「モンスターペアレントか手前は」
仕事が終わったのか、何時もよりラフな格好をしている中也をよく見ると、買い物袋を持っている。
………本当に森さんから任されたんだなぁと、彼の人は彼の人なりにAの事を心配してるなら、まあ今回は見逃してやらなくはないかも。
「私の分も勿論購っているのだよね?」
「図々しいな手前は」
「ちゅうやさん、だざいさんの分もちゃんとかってたよ」
×××××
久しぶりの更新ごめんなさい。文がスランプ中なので、最近は絵ばっかり描いてます。
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遥@携帯の調子悪くて返信遅れます(プロフ) - コメント一括にて失礼します。最近携帯の調子悪いので…皆様お待たせしました。次の話でとりあえずは彼の話は一旦終わりとなります。最後まで書き切りますので、それまで見てくださると嬉しいです。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
至恩(プロフ) - お久しぶりです!わーい更新だー!って通知見て思いました! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 77907255a2 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の死神(プロフ) - わわ…!更新待ってました!これからも頑張って下さい! (2019年10月13日 1時) (レス) id: eb1a5cc196 (このIDを非表示/違反報告)
或 - どストライクで大好きな作品です!応援してます!! (2019年9月27日 13時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
フェルト - すごく大好きです!頑張ってください! (2019年9月26日 18時) (レス) id: 00cb91440a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2019年2月15日 19時