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件の猫はその後織田さんが確保し、依頼主のところに送り届けられた。
途中何度かその猫に顔を引っ掻かれたりして、織田さんの顔は猫の引っ掻き傷が付いている。
ベンチに座って鞄の中から絆創膏と消毒液を取り出して、軽い治療をした。
「そうか、お前は看護学生だったな」
「其れも太宰情報ですか?」
「嗚呼。お前の事を良く話していたよ。」
懐かれているな、と云われた。その手の事はよく云われている。中也にも云われたし。
「手伝ってくれた礼と、手当てしてくれた礼だ。この後予定が無かったらで良いんだが、奢るぞ」
「え、いや、単なる俺のお節介ですよ。そんな気を使う程でも、」
「……マフィアや裏社会の人間というものは、借りの作りっぱなしは余り居心地の良いものでは無くてな。太宰や中原さんにも、散々礼はされたんじゃ無いのか?」
「……」
嗚呼。成る程。
其れで合点が行く。俺にやたらと礼をしたりするのも、何かと色々購って来るのも。
俺は別に其方側の人間では無いから、如何こう云う気も無ければ、何もする事はないのに。まあ、でも仕方ない事なのかな。
「其れに、お前と二人で話したい事もあった」
「え、」
「お前と太宰についてだ。本来、余り口出しする事ではないと思うがな。だが、世話を焼きたくなった。」
「……お兄ちゃんみたいですね」
「別に兄でも構わない。もう一人子供が増えるようなものだしな」
立ち上がった織田さんは、本当に背が高いなと思う。近くに居ると余計に。
この人はいつも俺の頭を撫でて来る。慣れている撫で方だ。そう、俺と同じ。
「……若いでしょうに、もうお子さん居るんです?」
「引き取って居る孤児がいるんだ。まあ、ちょっとした娘と息子みたいなものだな」
どうも、俺とその孤児達が重なるらしい。
俺の事を一体何歳だと思っているのか。然し逆らえないのも、何も云う気が削がれるのも、この人の包容力には、何でだか俺には太刀打ち出来ないと思うから。
「太宰の事を話すから、余り人間が居るところでは話せないが───俺たちが何時も行きつけにしている店に行くが、良いか?」
「俺は大丈夫です」
決まりだな。と織田さんは少し笑って、俺の手を引いた。
………本当に俺の事、幾つだと思ってるんですか。
(…織田さん、別に手を引かれる程俺子供じゃないです)
(俺からしたら未成年は未だ子供だ。其れにまた、不発弾に遭遇されては心臓に悪い)
(……何も言い返せない)
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遥(プロフ) - 勿論不快にさせた事実は変わりませんが、改めまして女狐呼びは後日修正させていただきます。公式からの呼び名がもし出たらその際はまた変えるかもしれないです。今回はお騒がせしてしまい申し訳ありませんでした。 (2019年7月28日 1時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - ららさん» 妲己、というのもよく考えたら失礼かなと思ったので追記を。前記の通りキャラを貶す意図はなく、クリスティ爵の残酷な面が垣間見える彼女の言葉一つで街を焼ける、といった権力の強さに狐であった妲己のようだ、といった自分の解釈もあります。→ (2019年7月28日 1時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 呼び方の方は後日修正させていただきます。コメントありがとうございました。 (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 誤解を招くようですが、クリスティ爵はとても好きです。映画で動いて声もついたのは本当にとても嬉しかったです。映画のイメージで「こう言う感じの方かな」と言ったイメージが先走ってしまって申し訳ありません。それと夢主持ち上げ、というよりはその辺の→ (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - ららさん» といった意味で女狐呼びをさせていました。軽率にしてしまい申し訳ありません。情報が少ない方なので、私なりの解釈等も混ざってしまい、呼び方等に不快な思いをさせてしまって申し訳ないです。決してキャラを貶すために使ったものではありませんでした。→ (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2018年11月13日 18時