Your affection kills me…33 ページ8
『ｹﾞﾎｯｹﾞﾎｯ』
さっき脇に挟んだばかりの体温計は
38.6°を記してﾋﾟﾋﾟｯと音を鳴らした。
案の定風邪を引いてしまい、
それもただの風邪ではなさそうだ。
あー、本当に皆さんに迷惑かけてしまった。
風邪には最善の注意を払っていたのだが
どこかで気が抜けてしまったのか、今では起き上がることさえ困難だ。
luzさんからはメールで
「仕事でお見舞いに行けません。何かあったらすぐに連絡してください」
とは来たものの、彼に助けを求めるわけにもいかなかった。
なにか口に入れないと。
そう思っても、料理はおろか確か冷蔵庫に食材はほとんど余っていなかったな。
それでもなんとか床を這いつくばって冷蔵庫の前に来ようも、中には予想外に飲み物さえ何も…
唯一入っていたのが缶ビールだったけど
薬を飲んでいるし病気の今これを口に入れたら自 殺行為だ。
『あー、本当に最悪…』
さすがにこのままだと死ぬ気がする。
気は進まなかったものの、携帯を取り出して携帯のの電話帳を開いた。
今は彼しか頼れない。
そう確信してluzさんの電話番号を見つめた。
本当は頼りたくない。
また彼に迷惑をかけてしまう。
だけど生きるか死ぬかがかかっているこの状況。
どうしようもないから仕方ないのだと自分に言い聞かせて電話の発信ボタンを押しかけた。
ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ…
luzさんに電話をかける前に、
タイミング悪く鳴ったインターホンで
彼に電話をかけるのを躊躇ってしまった。
なんだかそのインターホンが、
「電話をかけるな」とでもいいたげだなぁ、なんて
馬鹿みたいに考えてしまう。
『………』
だがしかし出る気はない。
このまま居留守使ってやろう。
声を殺すだけじゃなくて、一切の動きをやめて完全に静止する。
どうせ宅配便だろうしな。
こんな状態じゃ荷物を受け取ろうにも受け取れない。から仕方ない。また後日来てもらおう。
30秒ほど待っても２回目のインターホンが鳴らなかったからゆっくりと立ち上がって定位置(ベッド)へ向かおうとした。
が、
ﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝpﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝ
『えっえ、え？えっ、ｹﾞｯｹﾞﾎｯｺﾞﾎｯ!!』
突然のインターホンの嵐に
動揺を隠せずに咳き込む
明らかに俺に対する嫌がらせ。
不在と知っての近所のガキのイタズラか。
そう思い、急いで玄関へ足を急がせた。
Your affection kills me…34→←Your affection kills me…32
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1066人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りんごあめ - コメント失礼します！！！すごすぎて一気に全部見ちゃいました！！すごい面白くて続きが気になる作品ですね！！びっくりしました！続き楽しみにしてます！！ (10月21日 22時) (
レス) @page26 id: b7103bc41b (このIDを非表示/違反報告)
みい - はじめして！とても引き込まれる作品で、続きがとても気になります...。いつでもまってます！ (2019年11月10日 19時) (レス) id: b7880c5d88 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - もう更新されないのですか、、、。とにかく続きが気になります。更新生きてる限り待ってます。面白かったです。 (2019年10月14日 2時) (レス) id: 60eee46cd0 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎-ﾕｷﾄ-(プロフ) - とても面白くて1話から一気に読んでしまいました..！！ 夢主に感情移入してしまい、辛そうにしていると、私まで辛くなってしまって...。とにかく、最高でした！続きが気になります！更新、頑張ってください！！ (2018年5月26日 2時) (レス) id: 36f788bb6c (このIDを非表示/違反報告)
サイコパス(プロフ) - 台詞かっこいい！！主人公がカッコいい！！ (2018年4月30日 1時) (レス) id: d972e9a204 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まむた | 作成日時：2016年10月12日 6時
