Your affection kills me…32 ページ7
『ｺﾞﾎｯ…』
「風邪ですか？」
撮影も終盤を迎える今、
現場ではちょくちょく風邪が流行っていた。
お茶を啜りながら咳をする俺の背中を
優しく擦りながら顔をのぞきこんで
顔色を伺うluzさんに申し訳ないと感じる。
あの夜から１週間。
彼は今までとなんら変わりなく接してくれている。
それが何よりも嬉しい。
『まぁ、咳が出るだけですから』
心配させまいと言ったその言葉に安心したのか
luzさんはニコリと笑った。
本当は立っているのもしんどいのだけど。
「は？風邪？ちょっとやめてよ。
俺他の録音とかあるのに風邪ひいてられないんだけど。」
そんな俺とluzさんの会話を聞いて
口を挟んできたのはそらるさんだった。
彼は少し変わってしまった。
元々言いたいことはハッキリ言う性格だった彼だが
あの夜から冷たくなってしまった。
俺とはほとんど前のような会話はしない。
時々口を開いたかと思えば、
俺への皮肉ばかりだった。
悲しいといえばそうだが、
彼を変えてしまったのはきっと自分なのだと思うと
別の意味で胸が苦しくなった。
「俺帰ります」
『えっ』
彼の皮肉に何も言い返せず
ただ黙って俯いていると突然そらるさんはそう言い出した。
まだ収録は残ってるのに。
『ちょ、困りますって。まだ終わってないのに』
「はぁ？アンタがここにいるだけで皆困るでしょ。ここにいる人達は、アンタと違ってこの撮影だけが仕事じゃないんだよ？」
帰ろうとしたそらるさんの背中を掴もうとした手は
彼に触れることもせずに宙をかいた
「アンタの風邪なんて移されたらたまったもんじゃない。早く帰ってよね」
そう言い残して、彼は乱暴にスタジオの扉を閉めた。
しんとししてしまったスタジオ内は
微妙な空気が流れる。
「なんか…そらるさん変わったよな」
微妙な声で呟いた誰かの声に
ただ俯くことしかできない。
彼を悪者にしてしまった。
この俺が…
スタジオを飛び出してきた後に
はぁ、と大きな溜息を吐く。
荷物をまとめて帰ろう。
そう思って下を向いたまま歩き出そうとした。
「ほんと、君って素直じゃないよね。
あの子もだけど。嘘をつくことでしかあの子を愛することが出来ないって、辛くない？」
その言葉にギクッとして前を向けば、
腕を組んで壁にもたれかかったun:cさんだった。
「…さぁ、なんのことだが」
特に何も言いはせず、
そうとだけ吐き捨てて彼を横切った。
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りんごあめ - コメント失礼します！！！すごすぎて一気に全部見ちゃいました！！すごい面白くて続きが気になる作品ですね！！びっくりしました！続き楽しみにしてます！！ (10月21日 22時) (
レス) @page26 id: b7103bc41b (このIDを非表示/違反報告)
みい - はじめして！とても引き込まれる作品で、続きがとても気になります...。いつでもまってます！ (2019年11月10日 19時) (レス) id: b7880c5d88 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - もう更新されないのですか、、、。とにかく続きが気になります。更新生きてる限り待ってます。面白かったです。 (2019年10月14日 2時) (レス) id: 60eee46cd0 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎-ﾕｷﾄ-(プロフ) - とても面白くて1話から一気に読んでしまいました..！！ 夢主に感情移入してしまい、辛そうにしていると、私まで辛くなってしまって...。とにかく、最高でした！続きが気になります！更新、頑張ってください！！ (2018年5月26日 2時) (レス) id: 36f788bb6c (このIDを非表示/違反報告)
サイコパス(プロフ) - 台詞かっこいい！！主人公がカッコいい！！ (2018年4月30日 1時) (レス) id: d972e9a204 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まむた | 作成日時：2016年10月12日 6時
