Your affection kills me…38 ページ13
「椚、冷蔵庫に明日の…」
食事を済ませた後、
椚の反対を押し切って食器を洗い
さらには明日の朝食まで作ってやった。
キッチンから見えるリビングへ声をかけても
静かなままのリビングへ足を運ぶ。
予想はしていたが、案の定ソファで小さく寝息を立てている椚の寝顔がそこにはあった。
「…アホみたいな顔」
そう声に出しても、こいつの寝顔をみて
自然と顔が緩む自分に変わりはないわけで…。
何もしなくても、きゅっと胸が締め付けられる感覚に俺はこんなにもこいつのことが好きなのかと我ながら呆れるほどだ。
『私だって、あなたのことが好き。
好きになっちゃ、いけなかったのに』
ソファの前に跪いて椚の頬を撫でようとしたが
さっきの言葉を思い出して伸ばした手は目の前のこいつに触れることはできなかった。
なんで？なんで好きになっちゃダメなの？
好きになれよ。
絶対に、心配なことなんて何もないんだから。
なんで、さっきそれを言えなかったんだろう。
そんなのわかってる。
絶対なんて無いことくらいわかってる。
だから言えなかった。
「俺だって、どうしていいかわかんない」
今の自分の声はそうとう弱弱しいだろう。
自分でも笑ってしまうくらいに。
俺だって、まさかお前のことを好きになるなんて
初めて見た時は思いもしなかった。
だけど、好きになってしまった。
この事実はどう足掻いても消えることは出来ない。
俺のこと、好きならそれでいいじゃん。
宙をかいて力なく床に落ちた拳を
ぎゅっと握りしめる。
「俺は、誰よりもお前のことが好きだよ」
起きてる本人の前でなんて死んでも言えないセリフを易易と言えるぐらいには疲れてるんだろう。
そろそろ時間もいい頃だし
明日も撮影で朝は早い。
もう今日は帰ろう。
前にもこんなことがあったなぁ
なんて思って立ち上がる。
所詮、眠っているコイツにしか
本当のことなんて言えない。拒絶されるのが怖いから。
きっと俺らは変わらないんじゃない。
変われないんだ。
心地よさそうに眠る椚の髪の毛を
そっと触れるだけ撫でてから、その部屋を後にした。
・
・
・
『ん…』
朝目が覚めると、もうそらるさんの姿はそこにはなかった。
代わりにテーブルに置かれた朝食と
【ちゃんと撮影来いよ】という置き手紙だけが残されていた。
やっぱり面倒見がいいなぁなんて感じながら
用意された朝食に手を合わせた。
Your affection kills me…39→←Your affection kills me…37
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1066人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りんごあめ - コメント失礼します！！！すごすぎて一気に全部見ちゃいました！！すごい面白くて続きが気になる作品ですね！！びっくりしました！続き楽しみにしてます！！ (10月21日 22時) (
レス) @page26 id: b7103bc41b (このIDを非表示/違反報告)
みい - はじめして！とても引き込まれる作品で、続きがとても気になります...。いつでもまってます！ (2019年11月10日 19時) (レス) id: b7880c5d88 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - もう更新されないのですか、、、。とにかく続きが気になります。更新生きてる限り待ってます。面白かったです。 (2019年10月14日 2時) (レス) id: 60eee46cd0 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎-ﾕｷﾄ-(プロフ) - とても面白くて1話から一気に読んでしまいました..！！ 夢主に感情移入してしまい、辛そうにしていると、私まで辛くなってしまって...。とにかく、最高でした！続きが気になります！更新、頑張ってください！！ (2018年5月26日 2時) (レス) id: 36f788bb6c (このIDを非表示/違反報告)
サイコパス(プロフ) - 台詞かっこいい！！主人公がカッコいい！！ (2018年4月30日 1時) (レス) id: d972e9a204 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まむた | 作成日時：2016年10月12日 6時
