初めての一目惚れ【及川徹】 (ページ17)

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お待たせしました～と持ってきてくれたのは、

紅茶と美味しそうなお菓子で、

リビングのソファに腰掛けながら

俺たちは今日あった学校での出来事を話す。

「あ、ピアノの部屋行きますか？」

『うん、行きたい』

そう言って案内されて入った部屋は、

『よく音楽室とかで見るピアノだ…

てか、何この賞状の数！？多過ぎない！？』

その部屋には、大きいピアノとあまりにも多すぎる

賞状やトロフィーが飾られていた。

中には全部英語の賞状もちらほら見受けられる。

『これは…何語？』

俺が指さしたのは英語っぽいけど

英語じゃない賞状。

「それは小学生の頃、
ピアノの先生が推薦してくださって、

有名なオーケストラの方々と演奏しに
ドイツに行ったときのものです」

俺を横目にさらっと答えながら

ピアノを弾く準備をするAちゃんを
見つめ、この子は天才なのかと考える。

「わたしが弾きたい曲弾いてもいいですか？」

『あ、もうどうぞどうぞ』

そして彼女がピアノを弾いた瞬間、

心がドクンと音を立てた。

　

この感じはあの時と同じだ。

初めて会ったあの日、

見た瞬間、一目惚れをして

もっと知りたいと思った時の心臓の音と同じ。

彼女の演奏は、魂が込められている気がして

もっと聞きたいと思える。

彼女には人を惹きつける力もあって
　

それをこの数々の賞状が証明しているんだ
と理解した。

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