元彼と結婚しました【五条悟】２ -完結-

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別れたいと伝えたあの日、Aは泣きながら

最後にはわかったと頷いた。
　
　

最初からわかっていた。
　


大切にするほど、失うことが怖くて

失った時の虚しさや悲しさは計り知れないこと。

　
　

最初からわかっていたつもりなのに、
　
　

ふとした瞬間思い出したり

見送った後もすぐに会いたくなったり



いつしか自分の側にいてほしいと

この笑顔は自分だけが見ていたいと


　

強く思うようになって


これ以上いけば引き返せないこと


それはずっとずっと分かっていた。

　


だけど、心のどこかでその考えを否定して

現実逃避をしていた僕に父は言った。

　


「自分が付き合うべき人間をしっかり定め、

行動を慎め」


『付き合うべき人間とは？』


「一般人と付き合ったところで何になる、

相手に悪影響が及ばぬうちに引け。


お前が五条家の人間であることを忘れるな」




その言葉は、

１０代の僕には簡単に聞き逃すことはできなくて
　


“ 悪影響 “ それは言い換えれば “ 死 “

　

　

五条家の人間である以上、

お前の彼女だって狙われかねないと言われたと同じ

　


Aの死が頭によぎった瞬間、

別れることを決意する。


　

これがAのために自分ができる

精一杯の “ 守り“ で

“ 愛情 “ だと思ったから。

　


次の日、Aがいつも通りに来て

シェリーと戯れているところを見ながら考える。




彼女のことは、本当に好きで

大切で仕方なかった。
　


出来ることならこの先の人生もずっと一緒にいたい

と思うほど本気で好きだった。

　
　



だけどあの笑顔が、あの声が、あの優しさが
　
　

自分のせいで死んで全て無くなるのなら
　


　
　





　
　

　

　
『俺ら、別れよ』



　

─ 最初から自分が手放せばいい。


　
　



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