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死んでしまいそう ページ9

唯一笑っていない一人。

紫色の、一松さんは眉間に皺を寄せていた。


──嗚呼、あの方は私が気に食わないのだろうな

そう、直感で思った。


気怠そうな目が、私を映す。

その、乾燥した、桃色の薄い唇が開いて。


「僕、猫に餌やんなきゃいけないから」


少し掠れた、低い声でそう言った。


「おう、早く帰ってこいよー」

「うん」


短く返事をして、私の横を通り過ぎた。



「後で話させて」


その言葉を私の耳に残して。



『ッ……』

正直、ぞくりとした。
心臓がドクドクと音を立てるのがわかる。



『ふ…は……っ』

耐え切れず、息が漏れる。




私は今、とても興奮している。

ニヤける顔を隠すように俯いて、ガクガクと震える足で必死に立つ。


あの低音…残る息…掠れる感じ…っ

カラ松様には負けるけれど、とても…タイプ……


というかここの人達はいい声の人ばかりでは…?!
個人的にカラ松様はもちろん、十四松さん、一松さんがとても好きだわ…


「…カラ松girl?」


ずっと黙っている私を不審に思ってか、私の前に立って肩に手を置かれる。

その衝撃で、


足の力が抜けて、身体が崩れた。

まあ当然目の前のカラ松様の胸に倒れこむ形になって。


「え…カ…カラ松girl…?!」


ふわりとカラ松様の香りに包まれて、すぐそばでカラ松様の声が聞こえる。


『す、みませ…っ』


嬉しいけれど、このままだと死んでしまいそう。


「大丈夫?お姫サマ」

「だいじょぶー?!?!しぬ?!しぬの?!」


さらに左右からおそ松さんと十四松さんのイケボ攻め…!


『し、んじゃいますから…っ!離れてください…』


荒い息を必死に止めながら、頭を横に振る。


「大丈夫じゃねぇじゃん。ほら、椅子あるから座って。トド松」

「ほーい」


トド松さんが椅子を持ってきて、半ば強制的に椅子に座らせられる。


『ありがとうございます…』

「何があったんだ?一松に何か言われたか?」


右から聞こえてくる心配するようなカラ松様の声。
ふるふると首を横に振る。


『…一松さんは何もしておりません……いえ、したかもしれませんが』

「?どっちだ?」


おそ松さんが子供のように問う。


『決して一松さんの声がストライクで私の胸が破裂しそうになったとかそんなんじゃなくて、その…』

「正解言ってんじゃん」


はは、と笑うその声さえも、私の心臓を早くしていく。



ああもう、死にそう。

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黒梨(プロフ) - おらっちさん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえて嬉しいです〜!がんばります! (2016年6月20日 22時) (レス) id: 718fa49758 (このIDを非表示/違反報告)
おらっち - 私もカラ松の声が大好きなので、すごく主人公に共感しながら読ませていただきました!頑張ってください! (2016年6月20日 22時) (レス) id: 7dee3cf99d (このIDを非表示/違反報告)
いちごれんにゅう - 黒梨さん  はい!ドドドストライクです!  そ、そんな…!私なんかに好きって言われて墓入りしないでくださいー!!(;´・ω・`)   はい!じゃあ普通に待機していますw (2016年2月22日 1時) (レス) id: 8b9736004b (このIDを非表示/違反報告)
黒梨(プロフ) - いちごれんにゅうさん» コメントありがとうございます!まじですかドストライクですか!!すきと言われて墓入りしそうなほど嬉しいです!風邪を引かない程度にお待ち下さい…頑張ります! (2016年2月21日 22時) (レス) id: 4e0232354b (このIDを非表示/違反報告)
いちごれんにゅう - ヤバいです…ドストライクです…黒梨さんのこの作品めっちゃすきです…!設定も好きですし六子のしゃべり方…キャラ…!めっちゃ大好きです!更新全裸待機(笑)して待ってますw頑張ってください! (2016年2月21日 21時) (レス) id: 8b9736004b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆかり | 作者ホームページ:ありません  
作成日時:2016年1月20日 22時

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