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そして、ホームルームが終わると案の定、彼の席の周りには多くのクラスメイトで溢れていた。
前の学校では本当に生徒会長をやっていたのか、ハーフなのか、部活には入るのか、今までまことしやかに囁かれていた噂の真相を確かめるべく、クラスメイトはこぞって質問し始めている。
それに対し彼は、顔色一つ変えずに淡々と答えていく。
変わったな。そう思いながら自分の席を少し前の方へとずらして、小説を読み始める。
けれど、真後ろの声がうるさすぎて集中ができない。
廊下からは他クラスからも、そして恐らく他学年の噂を聞きつけた学生たちがひしめき合っている。
刺激不足の彼らにとって、『転校生』というのはどれほどの魅力を携えているのだろうか。
そして恐らくそれは、彼が元来持ち合わせているカリスマ性というのにも機縁しているのだろう。
昔からそうだ。
彼の周りには常に誰かがいた。
彼の持つ魅力に引き寄せられて、彼の言葉を求めて誰かが寄ってくる。
私は、ただただ彼と遊ぶのが楽しくて、いつもそばに居た。
外でも彼はそれ程取り繕う性格ではないのだが、私といる時が1番自分を出している。そう感じてどこか優越感も覚えていた私が居たのだ。
昼休みは図書館に行こう。
心の中で、私は今日のスケジュールを立てていく。
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作者名:にこ† | 作成日時:2020年3月31日 10時