かつての親友の赤と ページ18
｢あっ！危ない！！｣
｢―は？｣
ドンと衝撃とともに、落下した先にいた少年とぶつかる。
｢す、すまん！怪我ないか？｣
慌てて飛びのけて、相手の身体をぺたぺたと触りつつくまなく見る。
おそらく同い年であろうが、平均的よりも背が高くがっしりとした体格、サラサラとしていて軽く七三に別れた黒髪、そして、眼鏡の奥にはまるで流れる血のように赤い瞳。珍しい、なんて思いながら怪我の有無を確認していく。
少年はあっけに取られているようで、目を見開いたままこちらを見つめて固まっている。
｢うん、とりあえず骨とかは大丈夫そう…｣
ほっと一安心して、少年の衣服に付いた砂を叩き落とす。
それから、自分も立ち上がると少し離れてから、自身の衣服に付いた砂もはたく。
それから手を差し伸べて、少年を起き上がらせる。
｢本っ当にすまなかった！ごめん！！｣
手を合わせて何度も頭を下げる。
すると、ようやく理解が追いついたようで少年はハッとして立ち上がる。
｢いや、俺は全然大丈夫やけど、アンタは？ていうか、なんで上から落っこちて…｣
そう言うと上を見上げる少年。
その視線の先には、この辺りで一番有名な榊。
元々御神木だったものだったが、ここにあった神社が潰れてしまいこの榊だけが残ったらしい。
｢あ、あぁ。いやぁ、ちょっと景色でも見ようかと思って登っては見たんだけれどさ、足を滑らせちゃって…｣
そう言うと少年は、はあとため息をつく。そりゃそうだ。いくら冒険心溢れる子どもだからといって、木登りをするなど最近は危険性を謳われてめっきりと減ってしまっているだろう。
｢君なぁ…。まあええわ。アンタの方こそ怪我はないんか？｣
｢おう！ピンピンしてるぜ！｣
握りこぶしを作って、ニカッと笑ってみせる。
すると、少し安堵したようで少年も微笑む。
それから、この少年とはこの木の前で度々会い、一緒に遊ぶようになった。
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作者名：にこ† | 作成日時：2020年3月31日 10時
