打開策 ページ48
そんな声とともに天井が爆発し崩れ落ちる。
コネシマに腕を引かれて、崩れ落ちてきた瓦礫から逃れる。そのままの勢いで、彼の腕の中に収まる。
｢おや、奇襲に成功したと思ったのですが…。失敗でしたね｣
｢火薬のニオイが、プンプンしとったわ。気づかん方がおかしいやろ｣
｢貴方、随分と鼻が良いのですね？まるで犬みたいですねぇ、くく…｣
｢ああん？｣
まるでチンピラだ。
いや、それより今は目の前の敵に集中しなければ。
どうしたらこの状況を打破できるか考えろ。
私には何が出来る。
考えろ。
教わったことを思い出せ。
なにかヒントがあるはずだ。
―知っとるか、Aちゃん？
初めに頭をよぎったのは、昨日のシャオロンの言葉。
―長物相手に距離を置くのはご法度やで。これマメな。
長物相手。しかし今の相手は長物ではなく遠距離攻撃可能な爆弾…。
あれ、似たような事をもう1人にも教えて貰った気がする。
誰だ…。
―長物、遠距離、それらに近接の奴が対抗するにはどうするべきやと思う？
―どう…？
それはゾムと訓練をしていた時に、不意に問われた言葉。休憩がてら、訓練用の槍や木刀を触っていた時に聞かれたこと。
なかなか触る機会のなかった、槍を持って振ってみたりくるくると拙いながらに回してみたり楽しんでいた時だった。
ーそれはな。
一瞬で姿を消したゾムに戸惑って辺りを見回した。
―相手の懐に潜り込むことやで。
真下から聞こえてきた声にハッとして、下を見るとニヤリと笑うゾムがいた。
驚いて慌てて飛び退こうとしたが、立ち上がった彼に腰に手を回されて逃げられなくなった。
―こうすることで、大抵長物や遠距離武器には対応できるはずやで。
そして、更にこう続けた。
―爆弾使う奴にも対抗できるかもな。
｢コネシマさん｣
距離が近くて助かった。小声で話しかけると、一瞬だけ視線をくれる。
｢私がなんとかして隙を作ります。なのでそこに突っ込んできてください｣
｢は？｣
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作者名：にこ† | 作成日時：2019年10月27日 7時
