予感と推測 ページ47
私が頷くと、なるほどと納得をする。
｢でも、アイツがナイフか何かを隠し持っているっちゅう可能性も捨て切れないやろ？｣
｢そうですね…、でもなぜあそこまで頑なに爆弾にこだわるのかが分からなくて…｣
｢趣味とか？｣
｢えぇ…｣
余りにも単純な答えに呆れてしまう。その可能性も無くはないが、もうちょっと色々考えて欲しい。
｢あの、もう少し考えて―｣
｢静かに｣
扉にもたれかかっていた私を引き寄せ、警戒をするコネシマ。想像しているよりも落ち着いた心音が聞こえてくる。
｢爆弾野郎のニオイや｣
肩を抱く彼の手に力がこもる。
冷静な彼に反して、私の脳内が軽くパニック状態になっている。
待て待て待て待て…。心音が聞こえる状況って何？
うん？？？ヤバいヤバいヤバい…。
パニックな頭にさらに、彼の匂いだと思われるタバコの香りが鼻につく。
恥ずかしさから顔を上げることが出来ない。
｢…行ったか。とりあえず、大丈夫やで…っておい？おーい｣
｢あっ、へ、は、はいっ！？｣
｢お前、何この状況でボーッとしてんねん…。死ぬぞ｣
｢あっ、とご、ごめんなさいっ｣
最もな言葉に慌てて謝罪をする。全く、とため息をつくコネシマ。
しかし、なぜだか少し頭がスッキリとした。先程までの不安が少し薄れた気がするのだ。
｢今、外から声が聞こえてきた。…どうやらお前の読み通り敵は二人だったみたいや。けど、その警備兵を殺った方は逃げたヒストリアの方を追わせているみたいや。そっちは、駆けつけてきた俺らの軍が何とかしとるやろ…けど｣
｢けど…？｣
｢なんでこっちに応援がこないと思う？｣
｢あ｣
確かに、時間的にはそろそろ到着していてもおかしくないのだ。けれど一向に応援が来ない。
｢さっきから何度か、インカムで連絡取ろうと思っとるんやけど、どっかで妨害されとんのか、一切連絡がつかん｣
指でトントンと耳につけたインカムを指さす。
言われてから連絡をしてみようと試みるが、ザザ…と雑音がなるだけで人の声が届いてこない。
｢それやのに、誰一人として突入して来おへん｣
｢まさか、罠が張ってあるとでも…？｣
｢はぁい、大正カァイ！｣
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作者名：にこ† | 作成日時：2019年10月27日 7時
