1度目の爆発 ページ39
『頼んだぞ。…行け！』
その言葉と同時に駆け出すコネシマ。
突然の事で動けなかった私の耳にコネシマの声が届く。
『お前は右側へ回れ！そっちに蔦の絡まった塀がある。そこから、敷地内に入り込め！』
｢は、はい！｣
その指示通り、屋敷の右手へと駆けていく。すると、そこにはコネシマの言った通り塀の一部に蔦が絡まっているところがあった。
蔦を使い塀をよじのぼる。塀の上から中を覗き込むと、警備兵の姿が見えた。しかし、その警備兵は地面に倒れ伏している。そして腹部から流れた血により、その周辺が赤く染まっていることがわかる。
｢ひ…｣
思わず小さく声を漏らしてしまうが、直ぐに飲み込み塀の中へと降りる。
『大丈夫か？』
通信が繋がったままのコネシマの声。
｢私は…。ただ、警備兵と思われる人が血を流して倒れています…｣
慣れない光景に目を逸らしながら、状況を報告する。
『周りには警戒しとけよ』
｢はい｣
建物にピタリと張り付き、窓から中の様子を伺い見る。特別、変わった様子は見られない。
中はまだ無事かもしれない、そう思った瞬間に大きな衝撃と爆音が響き渡る。
驚き慌てて身を小さくする。どうやら場所は離れていたようで、落下物などはない。
『無事か！？』
それと同時にコネシマの声が響く。
｢は、はい。大丈夫です…。コネシマさんは…？｣
『こっちは平気や。火の匂いが強まったからな…。お前はヒストリアの家の奴らが無事か見てきてくれや。俺は犯人とっ捕まえたる』
声だけではあるが、相当怒っていることが伝わってくる。恐らく、敵国への怒りだろう。
その時、ポケットに仕舞いこんでいたスマホが震える。
『そうだ、お前はヒストリア家の奴らの顔わからんやろ。お前のスマホに画像付きのリスト送ったから、それ見て救出してくれ』
｢あっ、ありがとうございます…！｣
お礼を言うとええから、と冷たくあしらわれてしまう。『真昼間から…』とぶつくさ呟く声を最後に通信が切れる。
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作者名：にこ† | 作成日時：2019年10月27日 7時
