ビンゴ ページ38
｢またや…｣
しばらく歩いていると、再び警戒態勢に入るコネシマ。
｢何があるんですか？｣
今回ははっきり聞いてみることにした。私だけ何もわからないのでは、本当にただの足でまといになるだけだ。
｢…火薬の匂い｣
｢火薬？｣
匂いを嗅いでみるが、何も臭わない。
この人の嗅覚、もしかして犬並みか。
｢おう、さっきも一瞬だけ臭ったんやけど、直ぐに消えたから気のせいやと思ったんやけど、やっぱり奥に行けば行くほど強まっとる…｣
スンと鼻を鳴らして匂いの方向を探っている。
そして、その匂いの元を辿るかのようにどんどん進んでいく。
｢…おい、グルッペンに連絡入れろ。…ビンゴや｣
｢へ、あ、はい…！｣
コネシマは一点を見つめたまま、指示を出す。建物の影に身を潜め静かに呼吸を整えている。
私は言われた通りグルッペンに連絡を入れるため、インカムに手を当て通信を行う。
｢えー、こちらAです。グルッペンさん？｣
『―どうした？』
インカムから聞こえてきた特徴的な低音。その声に一瞬の圧を感じながらも、今の現状を伝える。
｢えっと、ただいまコネシマさんと東側地区の見回り中…、コネシマさんが火薬の匂いを嗅ぎつけて、辿ったところ、コネシマさんがビンゴだと…｣
『ふむ…どの辺だ』
一瞬考えた様子から、すぐに場所を聞かれる。しかし土地勘のない私はすぐに答えることが出来ない。
『すまない、ロボロにお前らの位置情報を探らせる。ちょっと待て―』
しばらく何かを動かす物音だけが聞こえてくる。
目の前のコネシマは未だに微動だにせず、静かに屋敷を見つめている。
それはまるで、主人からの指示を待っているかのようで。
『OK。分かった。目の前の屋敷は外務省外交補佐を務める、ヒストリア家だ。…もしかしたら、今度のパーティーに打撃を与えるためにどこかの国が仕向けたのかもしれんな』
その言葉に一筋の汗が額を伝うのを感じる。
『…Aには荷が重いかもしれないが、コネシマと2人で被害が最小限に抑えてくれ。増援も送る。それまで耐えてくれ』
2人で。その言葉に、肩に重石が乗ったかのような感覚に襲われる。
『コネシマ、聞こえるな』
｢おう｣
『頼んだぞ。…行け！』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にこ† | 作成日時：2019年10月27日 7時
