決着 ページ31
シャオロンはすぐ様構え直すと、再び突きを入れてくる。
転がりながらそれを避け、距離を取り立ち上がる。
ナイフを構え直したところに、攻撃が加えられる。
｢っ！｣
その攻撃は外れ、地面に叩き込まれる。
｢チィっ、外したわ｣
｢めっ、めちゃくちゃ本気じゃないですか…！シャオロンさん…！私死にますって…！？｣
｢いや〜、つい楽しくなってもうたわ…｣
｢手加減してくださいよ…！！｣
距離を取りナイフを構える。
ゆらりと体勢を直した彼を睨みつける。
気を抜いているように見えるが、全然隙が見つけられない。
棒を肩に乗せぽんぽんと軽く叩く姿は、まるで金属バットを持つヤンキーのよう。
不良の青春漫画とかでしか見たことないです。
｢ん〜…、来おへんのならこっちから行くで…っ！｣
そう言って駆け出し一気に距離を詰めてくる。
こちらの肩目がけて大きく棒を振る。
しゃがんでそれを避け、そのまま彼の右足に蹴りを入れる。これで1本。
｢うおっ…！？｣
バランスを崩したシャオロンはよろけて、そのまま転倒する。
倒れ込んだところに組み付き、ナイフを振り下ろす。
｢あっ…、ぶね〜…ギリギリっ…！｣
彼の身体に当たる直前で、腕を掴まれ阻まれてしまう。
少し驚いたのか彼の額に一筋の汗が流れている。
しかしそれでも余裕そうで、笑みを浮かべている。
｢なんや、めっちゃ目ギラついとるやん…っ。あんたこそ、めちゃめちゃ本気になってるんじゃないですか？｣
そう言いながら体勢を立て直そうとしているのか、シャオロンは身体を攀じる。
抜け出される前にどうにかあと1本は取りたい。そんな思いから、少し焦りが生まれる。
｢でも、まだまだ、やでっ…！｣
｢…！｣
下にいる彼が態勢を変えたことで、足元に隙間ができたのか、自分の足が彼の足に絡め取られる。
倒れそうになる身体を彼が支えるように、しかし転がりながら形勢は逆転する。
｢焦っちゃアカンで、な？｣
そう言ってニヤリと笑う。
まだ掴まれていた手首がギリと音を立てる。
痛みでナイフを握る力が緩み、そのまま手を離してしまう。
それを彼は素早く拾い上げると、首、心臓とナイフをトンと当てていく。
｢はい。プラス2本。俺の勝ちやで｣
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作者名：にこ† | 作成日時：2019年10月27日 7時
