【軍パロ】魅入られた瞳は3【d!】 (ページ25)

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誰よりも良いものをページ25

｢えっと…。見た目…｣

少し悩んだ末にそう答える。自信はない。

｢ふむ。半分正解だが、半分不正解だ。正解は、身なりだ。見た目も確かにその1つだが、身に纏う衣服の生地の質、装飾品の類。それらを見て相手が自分より上か下か判断するのが、貴族に政治家という奴だ｣

そう言うとグルッペンはコツコツと靴音を鳴らし、一番奥に飾られているドレスの元へと歩いていく。
そしてそのドレスの前に辿り着くと、こちらを振り返る。

｢そしてお前は、この国の一員として他国のパーティーへと赴くのだ。しかも、我々が初めて連れてきた女性だぞ。周りの奴らが好奇の目でお前を見るだろう。そして、お前がどういう立場なのか、身なりを見て判断する。それなのに、お前はそこそこのドレスで、そこそこの飾りをつけて前へ出るというのか？｣
｢…っ｣

距離は離れたはずなのに、押し寄せてくる重圧。
とても重たく、まるで言葉がのしかかってくるかのようだ。

｢それよりも、誰より良いドレスを着て、良い飾りをつけて誰よりも美しく居る。その方が良くはないか？｣
｢…そう、ですね｣

そう告げると、彼は満足そうに口角を吊り上げる。
彼の言葉に説得力を感じたのは確かだ。
だからと言って、高いドレスを着ることに抵抗がないわけではない。
むしろ今すぐにでも帰りたいくらいだ。

｢店員。彼女にこのドレスを｣
｢かしこまりました｣

近くで控えていた店員が、一礼してこちらへ近づいてくる。
裏からさらに2人ほど現れると、その2人はグルッペンの後ろにあったドレスを丁重に運んでいく。