パーティーの必需品 ページ24
｢目的地だ｣
そう言って目の前に現れた、きらびやかだが落ち着いた雰囲気のある店。
ショーウィンドウには、豪華で色とりどりなドレスが展示されている。
｢ええと、まさか…｣
｢うむ。今日はAのドレスを選びに来たぞ！｣
にぱーと顔を笑顔で輝かせるグルッペン。
｢はい？｣
予想外の言葉にワンテンポ遅れて返事をする。
｢今度、お前に参加してもらう外交パーティー用だ｣
｢だから言ったやん…。こんな朝早くからやらんくても良くないですかねぇ…｣
｢ちょ…、えっ？｣
困惑する私をよそに、店内に入る。
店員さんがこちらに気がつくと、｢お待ちしておりました｣とさらに奥の方へと案内される。
そこには、店の手前側よりも高そうなドレスが並んでいた。
｢どんなヤツがいいだろうか…やっぱりピンク系統がいいだろうか。トン氏はどう思う？｣
｢勝手に話進めすぎや。Aが困惑しとる｣
｢じゃあ、どれがいい？A｣
｢え、いや｣
｢この赤色もいい感じじゃないか？｣
｢あの｣
｢それとも、この青色のは？｣
｢グルさんグルさん、Aついて行けてないから。ちゃんと話聞いてやってや｣
｢む…。なんだ｣
トントンの助け舟のおかげでようやく、グルッペンの話が止まる。
そして、やっとこちらの話を聞いて貰えそうだ。
｢あの、私がこんな高そうなドレス、申し訳なさ過ぎて着れないです…｣
｢なんだ、そういう事か。それなら気にするな。それに、だ｣
グルッペンはこちらをじっと見据えると、切れ長の瞳が細められる。
｢お前は、人が相手と自分の立場の優位性をどこで判断すると思う？｣
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作者名：にこ† | 作成日時：2019年10月27日 7時
