どう？ ページ22
｢で、またなんなんですか…｣
外へと連れ出され、門の方へと歩きながら尋ねる。
｢うむ、今日は今度参加してもらうパーティに着ていく服を選んでもらおうと思ってな｣
｢だからってこんなに朝からじゃなくても良くないですか？｣
まだ起きてから30分も経っていない。あくびが自然と出てしまい、口元を押さえる。
｢いや、本当にスマン…。俺もAが可哀想やって言ったんやけど、止められなかったわ…｣
隣でトントンが申し訳なさそうに肩をすくませる。
｢トントンさんは悪くないですよ｣
そう、彼は悪くない。だって元凶は総統なのだから。
手を後ろで組み前を歩くトレンチコートを羽織った金髪男。
なんでこの人は朝っぱらに呼びつけたり、外へ連れ出したりするのだろうか。時間感覚がズレているのだろか。
｢そういえば、こうやってAと話をするのも久しいなあ。どうや？最近｣
｢そうですねぇ。大分、この世界にも慣れてきて過ごしやすくなってきました｣
｢そうか、なら良かったわ。…でも、あれやろ。うちの奴らが君に迷惑かけとらんか？｣
｢う、うーん、ま、まあ、なんとなぁく慣れてきました…ええ｣
否定しようと思ったのだが、突然の口論や喧嘩に巻き込まれそうになったり、吐きそうなほどご飯を食べさせられたり、ストーカーを諦めさせるためのカモフラージュにさせられたり色々な出来事が頭を過り曖昧な返事をした。
｢はっ、素直やなぁ。まあ、でも賑やかやろアイツら｣
｢ええ。だから、まあ時々他所でやってくれないかなとか思いますけど、楽しいです。飽きないです｣
｢せやろ｣
｢でも賑やかなのはトントンさんも同じですよ｣
｢えっ！そうか…？あー、まあ、そうやなあ。確かにアイツらとおる時、俺も結構うるさいかもしれへんな｣
正直に思ったことを伝えれば、一瞬目を丸くするも直ぐに思い当たったようで視線を逸らしながら答えてくれた。
突然の取っ組み合い―彼らは『内ゲバ』と呼んでいる―が始まれば、止めるためにすっ飛んでくるトントン。かと思えば、時々その内ゲバに混ざってしまう。
その時の表情はどこか怒りを抱えながらも、楽しそうに笑っているのだ。
その顔を見ると、彼もここの幹部なのだなと実感が湧く。
｢な、なんや。そんな笑顔でこっち見て…。なんも楽しいことあらへんやろ…｣
｢え、笑ってました…？今｣
｢お、おう、無自覚かい…｣
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作者名：にこ† | 作成日時：2019年10月27日 7時
