準備 ページ16
声が重なる。どちらからともなく吹き出し笑う。
｢せや！やっと思い出したか？時期的にそろそろやと思ってなぁ。呑気に廊下歩いとったから連れてきたってわけや｣
｢いやいや、その前に私この服装じゃ動けませんて｣
そう言って、改めて自分の服装を確認する。
シンプルな白のブラウスにジーパン。靴はスニーカーだが、激しく動くには厳しい。
｢うんうん、そう言うと思って君の部屋からジャージだけ拝借してきたわ｣
｢あ。助かりま……、不法侵入ですか！？｣
｢いやいや、ちゃんとノックもしたし声も掛けてから入ったで。返事しなかったからダクトから入ったけど｣
｢いや、それを不法侵入と言うんですよ｣
サラリとそんなことを言われてしまうので、一瞬受け入れてしまいかけた。
この間もそうだが、ダクトからじゃなくてしっかりドアから入っていただきたい。
ていうか、中に人がいない時には入らないで欲しい。プライバシー侵害ですよ。
差し出された紙袋を受け取ると中には私のジャージ。
クローゼット開けるとか普通しないでしょ…。
とりあえず着替えを済ませ、訓練場に行く。
そこでは既にゾムが待っていた。
服装に変化はない。ゾムはパーカーに動きやすそうなミリタリーパンツ。
前にも感じたが、ここの人たち特にシャオロンや鬱先生などはスーツやらオーバーオールなど動きにくそうな服装なのに、よく立ち回れるよなあ。
1歩グラウンドに踏み入れると、ゾムはこちらに気が付き顔を上げる。
｢おっ。待っとったで｣
｢お待たせしました｣
｢Aはこれ使い｣
そう言うとナイフを差し出される。
しかしこれは…。
｢本物じゃないですか…｣
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作者名：にこ† | 作成日時：2019年10月27日 7時
