詐欺師 ページ2
チーノはテラス付きのカフェへ連れてきた。
落ち着いた雰囲気で明るい内装をしている。
｢ここのカフェオレと、バウムクーヘンが美味しいんですよ｣
とオススメしてくれたので、それを頼む。
チーノも同じものを頼む。
席に着くとニコニコと笑みを浮かべてこちらを見るチーノ。
その視線がどこかむず痒くて顔を合わせることが出来ない。
｢いやぁ、やっとタイミング合いましたねぇ。なかなか忙しかったですからね｣
｢ええ、そうですね…｣
｢とりあえず、遠慮しないで食べてください。食べて、それからお話しましょ？｣
そう言うと自分のフォークを持ち上げ、バウムクーヘンを食べ始める。
私も小さくいただきますと言って、食べ始める。
程よい甘さとしっとりとした食感がとても美味しい。カフェオレともとても合う。
｢Aさんは甘いものお好きなんですか？｣
｢好きですね…｣
｢やっぱり？この間、オスマンさんとお茶会してたり、グルッペンさんと菓子屋に行ったりしたとお聞きしましてね。それに今、とても幸せそうな顔して食べていたので｣
｢…そんな顔してました？｣
何となく顔を抑える。自分では全然わからない。
｢ええ、それはそれは美味しそうに。でも好みにあったようで安心しました｣
ふふふ、と笑うチーノ。
｢チョコ系も好きなら、ここのガトーショコラもオススメなんですよ。甘過ぎず食べやすいんです｣
｢へえ…！｣
それからチーノは、好きな物や自分のオススメなど色々と話したり聞いたりしてきた。
すっかり彼への警戒心も薄れ、会話を楽しんでいた。
｢ところで、Aさんって―｣
｢どんな人なんですか？｣
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作者名：にこ† | 作成日時：2019年10月27日 7時
