【軍パロ】魅入られた瞳は2【d!】 (ページ9)

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若草色とページ9

浅い眠りのタイミングなのか、何やら右腕あたりにズシリとした重みを感じる。
ゆっくりと瞼を開けると茶色い髪の毛が視界の端に映る。
ゆっくりと視線をそちらに向けると、スヤスヤと寝息をたてるゾム。
ゾム…さん…？

｢うわあああっ！？？｣

思わず驚き、飛び起きて少し後ろに下がる。
うがっ、と変な悲鳴を上げてゾムの顔がベッドに沈む。
バクバクと心臓がうるさい。

｢んあ…あ。おはよーさん｣

くあ、と欠伸をしながら体を起こすゾム。
椅子に腰掛け、顔だけベッドに乗せていたようだ。
いつからここにいたのだろうか。
そして、思わず勢いよく動いてしまったが、左手首から点滴が外されている。

｢い、いつから…？｣
｢ん、ああ。ショッピくんから倒れたって聞いてな。様子見に来てたんよ。そしたら、つい眠ってしもうたわ｣

とても優しい声色。それにしても、ショッピから聞いた、と？
彼のことだから特別言いふらしたりはしないのだろうから、恐らくゾムから彼に聞き出したのだろう。

｢ゾムさんだけですか…？｣
｢うん？いや、他にも何人か来てたみたいやで｣

ほら、と彼が視線を向けた先を見ると、サイドテーブルに本やスープポット、果物にエナジードリンクが置いてある。
私が寝ている間に何人来たのでしょうか。

｢多分、エミさんにひとらん、トントン辺りやろ。スープは俺やで｣

なんて言って笑っている。
本当に料理できたんだ。なんて思ってしまったのは、少し失礼だろうか。
2日間でかなり優しくしてくれた人たちだ。名前の上がった人たちの顔を浮かべていると、ふと、1人いないことに気づく。

｢鬱先生は…｣
｢ん？アイツは出禁やろ、当たり前やん｣

とのこと。どうやら、トントンに止められたらしい。何しでかすかわからんから、と。

｢でも、やっとゆっくり休めたやろ｣
｢そうですね。大分、すっきりしました｣

色々、無理させてスマンな。とゾムが謝ってくる。その少し困ったような笑顔。少し心がズキリとする。

｢ま、早く元気になりや！な！｣

そうニカッと笑って椅子から立ち上がる。
ポンと頭に手を置かれ、少し顔を近づけてくる。

｢また明日、おやすみ｣

彼の若草色と目が合う。
細められたその瞳はキラキラとしていた。