続き。。 ページ8
．
「10億。」
ザワッ＿＿＿＿
騒然とした。会場はあっという間に喧騒へと変わり果て、彼女が持つステッキを床に叩きつけると、そんな喧騒もピタリと鳴り止み、静寂の間へと変化した。
「じゅっ、10億！10億でよろしいでしょうか…ｯ!!」
司会者は声を震わせながら客に問いかける。
それに客は何も言わない。
「では、10億でウツボの人魚は落札となります!!!」
「………」
この女性は僕を見つめ続け、鮮やかなドレスとは対象的な真っ白で繊細なレースのオペラグローブを着けた手を水槽に当てた。
「………お前、片割れはどうした。」
「…！」
何故、それを。
驚きと動揺で、水槽の水を揺らした。
「…覚えていないのならいい。」
彼女は月色の目を揺らすと、司会者に声をかけられていた。
「そっ、それではこちらで手続きを…」
水槽を荷台に乗せて、舞台袖から別室へと運ばれると、契約書とおぼわしき紙と羽根ペンを取り出して、彼女の前に差し出した。
インクもつけずに羽根ペンを紙に這わせて、自分の名前を書いていった。
水槽の中ではとても見えず、アズールの商売に使えそうにはなかった。
「……確かに10億イクノス、頂きました。」
司会者は恐る恐る紙とペンを受け取った。
その背後から、片目だけ隠す仮面をつけたまた別の人間の男性が現れた。
「お買い上げありがとうございます…!と言いたいところですが、壇上には上がらないでいただきたいものだ。」
「ふん、
「……はァ。…そのウツボ、次はどうするのですか」
「買ったあとの干渉はしないのだろう？」
「旧友のよしみで、少しぐらいはいいでしょう？」
「お前と友としての縁は切った。
私はお前に話すことは何もない。それを連れて私はここを出る」
それ。
僕を指しているのだとすぐに分かった。観賞用として買われたのなら少々厄介なことになりそうだ。
そう思うと少し顔を顰めそうになった。
「…そうですか。では、外までお送り致しましょう。旧友には私、優しいので。」
「恩着せがましい優しさなど邪魔でしかないな。」
一瞬、あの男が学園長に見えた。
緑がかった黒髪に仮面だなんて、特徴が一致している。
まぁ、どうでもいいことなのだが。
．
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はみ゜(プロフ) - みゅーじっくさん» お好きにどうぞ〜!!使用する事をコメントに残していただければ、許可云々を求めなくても大丈夫ですよ！ありがとうございます！！ (2020年11月12日 22時) (
レス) id: edbe22807d (このIDを非表示/違反報告)
みゅーじっく - こんにちは！ユニーク魔法の「あやつり人形」を私が今書いている小説内で使用してもよろしいでしょうか？ (2020年11月12日 19時) (レス) id: 4369581b15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はみ゜ | 作成日時：2020年9月15日 8時
