続き。 ページ7
今、ブロットが溜まるのを覚悟で、この会場を壊すか？
いや、魔法薬が無い今それは自ｻﾂ行為だ。
もう一度、誰かに買われて逃げられる機会を待つか？
今の状況ではこれが有力…なのですが、あの時のように気まぐれに逃がしてくれる者が僕を落札できるとは思えない。
さて、どうしましょうか。
「それでは500万から！！」
600、700…＿＿＿＿
あ、900にまで跳ね上げられましたね。
1000、2000、3500…桁も上がり、一億にまで延びてしまいそうな競りの声に恐れを抱く事もなく、飽き始めていた。
気紛れに逃がしてくれる者。
僕が望むのはその人間だけだ。その人間に当たるまで、僕は何せずにこの窮屈な水槽で微睡んだ。
9000万にまで上がった頃、沈みかけていた意識が浮上した。
まだ声が上がっているのを聞く限り、まだ僕を落札するのは先のようだ。
尾ビレを水槽にペチペチ当てながら暇を持て余していると、会場が静寂に包まれた。
カツンッ…＿＿＿＿
ハイヒールと床がぶつかる音が、水中にいる僕の耳にもよく響いてきた。
好奇心で音の主を探すと、客席の奥から女性がゆったりと階段から降りてきているのが見えた。
シルバーのマスクには真っ黒な羽根が数枚着いており、ドレスや靴は深海のように深い青。
羽織っているマントも同じ青。
派手な装飾も無いシンプルなデザインを、優雅に着こなせている。
ヴィルさんがここに居たら喜ぶでしょうね。
子じゃがの割にやるじゃないって言うのでしょうか。なんて思いながら彼女を見つめた。
コツン、コツン。
そんな音が会場を支配した。
客席の人間たちは女性と目が合わないように顔を下に向けながら彼女が横を過ぎるのを待っていた。
ここの支配人だろうか。
それとも、オークションの常連客なのだろうか。
あそこまで接触や関わりを避けられるなんて。
僕を逃がしてくれるのならどうだっていい事だった。
もう一度、瞼を下げて落札されるのを待った。
暗闇に支配された時、彼女とおぼわしき声が間近に響いた。
薄く目を開けば彼女の仮面越しに鋭い月のような淡い黄色と目が合った。
僕らの片目よりも淡くて消えてしまいそうなのに、とても力強く感じた。
アズールと出会った時のような感情が身体の奥底で昂り出した。
ドクドクドクと心臓がうるさい。
ほんの数秒。
見つめ合うと彼女は薄い唇を開いて声を紡いだ。
．
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はみ゜(プロフ) - みゅーじっくさん» お好きにどうぞ〜!!使用する事をコメントに残していただければ、許可云々を求めなくても大丈夫ですよ！ありがとうございます！！ (2020年11月12日 22時) (
レス) id: edbe22807d (このIDを非表示/違反報告)
みゅーじっく - こんにちは！ユニーク魔法の「あやつり人形」を私が今書いている小説内で使用してもよろしいでしょうか？ (2020年11月12日 19時) (レス) id: 4369581b15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はみ゜ | 作成日時：2020年9月15日 8時
