-貴方と出逢えた日々が…-【練紅炎】

それは ページ7

こんこんと部屋の扉を二回叩き、がちゃりと音を立てて中へ入る


「失礼します」


　ある程度の基本的な動作をして部屋を見ると案の定父と母。それから…

「…何で蘭希と夜筱が居るの？」


　そう言うと私の両親の後ろに並んでいた二人は少しだけ気まずそうな雰囲気をしだした


「いや、あの私達も呼ばれていたので…」
「……」

　だったら一緒に来れば良いのでは？と思うのだが、違うのだろうか。と言うか第一にもうこの二人従者としての役割をちゃんと果たしていないような気がする。いや…気しかしない


「まぁまぁまぁそんな事よりA」
「はい？」


　いつも以上ににこにこしている母を見る


　母は確かに四十五だとは思えないような麗しい顔をしていて、笑顔はとても美しいが……正直ここまで笑顔なのも気持ち悪い…妖怪だ。もはや妖怪だ。


「蘭希と夜筱やっっっっと付き合ったんですってね」
「…えぇ」


　いやぁ本当にあの二人の恋は実に焦れったかった。焦れったすぎて逆に見ていて苛々してくる位だった


「あの今日呼んだ理由は？」
「やぁねぇ親子の久しぶりの再会何だからお話位したいと思うでしょ？」
「……」



　即答して返ってきた言葉にまぁ確かにそうなのだが…と心の中で相槌をうつ



　だが、この母の事だ……本当はまったく違う要件で呼んだ筈



「…まぁ貴女に隠し事出来ないのは分かってたから良いけどね」
「……」



　母は私から視線を外し床の方に向ける。そのまま話始めた


「まず一つ目は……A貴女に会わせたい人がいるの」
「…私に？」
「そう…」


　そして視線を上げまた私に向けたかと思ったら次は私の後ろに居る紅炎に向けた


「二つ目は…紅炎殿貴方とお話をしてみたいなと思ったのよ」
「……」



　声の音量が少し変わった母を見てこっちが本題だと言う事を察する
　しかし…何ゆえそんな事を



「まずは貴女が先ね」


　そう呟いて扉を見つめる母
　一体私に誰を会わせたいのだと言うのだろうか



「入って」




　私達が部屋に入る時は誰も居なかったのだが…


　かちゃりと控えめな音を立てて開く扉



「……」
「！？」



　くすりと笑うその人物を見た時私は驚きのあまり口が少し開いてしまう


「久しぶりだねA」


　いつでも穏やかなその声を出して少し首を傾げながら微笑する彼


　幼少の頃
　あの笑顔に何度胸をうった事だろうか


「…肆菊」




　久しぶりの再会にどこか嬉しさを隠せない自分が居た

真(まこと)の事なのかと→←不安になるんです

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