馬鹿だと罵ることでしょう ページ16
昔、煌帝国にくる少し前までずっと想っていた人がいた。
私よりも少し歳上の彼はいつでも私と一緒にいてくれて、よくお忍びで街へ出てはあまりにも綺麗だから、女の子と間違えられて『僕は男だよ!』と頬を膨らませて怒っていたことが今では懐かしい。
一緒に成長していっているはずなのに、彼は女であるはずの私よりも綺麗で、いつでも私のずっと先を歩いていて、そのどうしても埋められない距離が嫌いだった。だから、いっそのこと諦めてしまおうとしたときに来た、煌帝国からの縁談話。これもなにかの縁だと思い、快く受けたの。
それで紅炎に出逢えたことは本当に感謝してる。だからこそ、彼が煌帝国へとやってきたのは、イレギュラーだった。今さら来ないで欲しかった。紅炎へのこの気持ちが揺らいでしまいそうになるから。
「こ、紅炎!?」
パタンと静かにしまる部屋の扉。部屋の前にいた兵士は、驚いて目を見開いて、固まってしまっていたけれど、大丈夫なのかしら。
そんな無駄だと分かっている気づかいをして、後ろをチラチラと意味もなく見ていると不意に暖かな温もりに包まれ、体が重みでのけ反る。
「紅炎どうし」
「うるさい。少し、黙っていろ」
そうピシャリと言われてしまっては、もう何も言うことは出来ない。そこまでの考えにいたると、私は素直に口を閉じて、大人しく紅炎の広い背中に腕をまわした。
暖かすぎる心地よさが好きで、嬉しくて、愛おしいと思う。あぁこの人といれて、私は本当にシアワセだ。
「__会いたかった。会って、話をしたいと思っていた」
「!?」
紅炎の言った言葉に驚いて顔を上げれば、一見いつもと同じように無愛想に見えるが、優しさのこもった目で見つめてくる瞳にかち合った。な、なに?どうしたの一体。ついにデレ期がきたのかしら。
スッと離れていく熱に一抹の寂しさを感じながらもいつまでもくっついているわけにもいかないということは分かっているので、大人しく離れていく。その感覚が、どうしようもなく寂しいだなんて、今の私には到底言えそうにも無い。
「お前の母親と話して、あらためてお前のことを知った。そこで気づいたんだ。俺はお前にたいして、まったくの無知だったと」
「そんなことは__」
「あったんだ。俺はお前のことをなにも、知らなかった。お前の過去も、性格も、好きなものも。思いつく限りの全てのことを知らない」
眉ねにしわがよっている。ねぇ紅炎。知ってる?私だって同じなのよ。
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クロエ・カナリア(プロフ) - リリスさん» ありがとうございます!!それと更新しました!!これから色んなハプニングを書く予定なので更新頑張っていきたいと思います!! (2014年8月12日 15時) (レス) id: 784221778b (このIDを非表示/違反報告)
リリス(プロフ) - だから頑張ってください! (2014年8月12日 12時) (レス) id: c1c3251abd (このIDを非表示/違反報告)
リリス(プロフ) - 気にしません! (2014年8月12日 12時) (レス) id: c1c3251abd (このIDを非表示/違反報告)
クロエ・カナリア(プロフ) - リリスさん» 暖かいお言葉が胸に染みます。本当にありがとうございます!!それと3DSの都合により更新できなくてごめんなさい!!今後もこのような事が多々あると思いますが末長く宜しくお願いします! (2014年8月12日 9時) (レス) id: 784221778b (このIDを非表示/違反報告)
クロエ・カナリア(プロフ) - *ギーマ*さん» あ、ありがとうございます!!これから更新頑張っていくのでこの作品を見守っていていただければと思います。それと3DSの都合により更新できなくてごめんなさい!! (2014年8月12日 9時) (レス) id: 784221778b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロエ・カナリア x他1人 | 作成日時:2014年7月25日 22時