【朔間兄弟】行方不明の弟くん【あんさんぶるスターズ】

行方不明4 ページ5

＿No side＿

朔間母「…凛月。その話はやめて、忘れるだけでいいの。零もわかるでしょ？お兄ちゃんなんだから。」


零「……」


凛月「忘れる……"だけ"？」


朔間母「そう。忘れるだけでいい。そんな子初めからいなかったの。……ほら、そんな猫の抱き枕なんて捨てましょ」


母が凛月のベッドにあった猫の抱き枕を捨てようとすると、傍に居た零がその腕を掴んで止めた。


零「それ、凛月の大事なもんだから。」


朔間母「零…貴方もよ？早く忘れて。Aなんてうちの子じゃないのよ。望まれてないの」


零「……なら、その望まれてない人間を産んだのは誰だよ…。自分で産んだのに責任すら持てねぇのか。自己責任すら負わずに相手を批判すんのか。……行くぞ凛月」


ベッドから出て着替えていた凛月の腕を零は掴み階段を降りていく。凛月も抵抗することなくそれについて行き、リビングに置きっ放しにしてあったカバンを零の分も持って玄関を出た。
──

少し待つと真緒が来て、3人は昨日のショッピングモールへ向かう。『またいるかもしれない』『傍にいるかもしれない』そんな淡い期待を抱いて。

その日はバスで向かったのだが、何故か込み合っていた。休日でもないと言うのに。

ショッピングモールも、何故か混みあっていた。どうやら誰かがモール内でライブじみたことをするらしい。3人とも興味がなかったが、モール内に貼られたチラシを見て、そこに行くことを決めた。

チラシには、Aの姿があったからだ。そしてその日はモール内でライブを見てくれた人限定で握手会も開催されるらしい。

ライブ観覧の際に貰う券を見せれば1分握手会に参列できるとか。

3人は走ってその場に向かった。案の定人が多い。Aのライブにはそこまでの価値があるようだ。

1番前の席は取られてしまっていたが、2列目が空いていたのでそこに座る。まだ始まらないというのにすごい行列になっていて、1部通行不可だ。

そんな中Aが歩いて来ているのを真緒が見つけた。臍が少し見えた衣装で、鎖骨が余裕で見えるほどには露出した服を着ている。そして何より細い。異様な程に。


零「！」


凛月「Aお兄ちゃん…」


2人は静かにそう零す。するとAが急にステージに上がる。まだ開催まで時間があるし、行列でさえもなくなっていないのに。


A「待ってる間暇でしょう？退屈凌ぎに歌を歌おう♪」


Aはそう言って歌い始めた。

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