過去が2話 ページ3
_____テレレレテッテッテーン♪
〔アリガトウ!勇者様!あなたのおかげで世界の平和は保たれた!〕
〔このご恩は一生忘れません!〕
ポトリ、
私の膝の上に雫が落ちた。
閉じ込められたから出た心が痛くなる様な涙ではなく、なにか、心がじんわりとなる様な涙だった ということを記憶している。
閉じ込められた物置で偶然見つけたゲーム機。
まだ新しいからあの飽き性の従姉妹のものだろう。
閉じ込められて暇だったし__と言うことで私はゲーム機に手を伸ばした。
そのゲームは冒険ものだった。
個性豊かな仲間達やキレイな作画。
ハイレベルな演出。臨場感満載のサウンド。
すべて私を夢中にさせるには十分過ぎるくらいだった。
そしてエピローグ。
内容はラスボスを倒して世界に平和をもたらした主人公に感謝をする、というテンプレートだったが、普段ゲームを最後の最後まで持っていくことも無く、従姉妹にゲームを取り上げられていた私はひどく新鮮に感じた。
その言葉はただの言葉の羅列の筈なのに何故がとても心に染みた。
真っ暗な部屋。
明かりはそのゲーム機だけだけど
私にはとても眩しく感じた。
___私はここに居ていいんだ。
そんなことをゲームに教えられた小学4年生の冬だった。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はちみつ黒豆 | 作成日時:2017年6月17日 22時