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六話 ページ8

――あれから早くも数ヶ月がたち来週には選抜試験も控えている。

そんな中、僕はしのぶさんにこう言われた。

「このままだと、カナヲしか選抜試験に行かせられません」

正直、反論もなかった。あれだけの期間、練習をしていたのにも関わらず蟲の呼吸が使えなかったんだから。

「はぁ……」

「しかし、そんなに落ち込むことではありませんよ? これこらもっともっと上達していきましょう! 来年もあるので」

来年、ね。

「それに、カナヲが隊士になったら、少しくらい一緒に現地見学なんてのも出来るでしょうし」

なんだか、情けないな。しのぶさんに肩をぽんぽんされながら慰められるなんて。

「本当にっ僕は情けない」

「えぇ、情けないです。 だから頑張るんですよ?」

あぁ、本当にこの人には、柱には、師匠には叶わないな。

――なんて思っていたが時は早くも選抜試験の日になった。

僕はやはり、行けなかったけれど藤の花の前でカナヲの見送りをしている。

「本当は僕もここに入れたのかな? カナヲ頑張って! ください」

やっぱりまだ、カナヲと目を合わせるのには慣れていない。ついゾクリとしてしまうんだな。

そのままカナヲはお辞儀をして行った。

カナヲに限って………だけど。

願わくば……

「何事もなく、帰ってきてください」

こちらを振り返る動作は微動だになかったが姿が見えるまで手を振り続けていた。

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作者名:フクラム | 作成日時:2019年11月10日 12時

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