数年越しの。【りぶ】

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コロコロ、出来上がっていくたこ焼きたち。なぜこんなに愛らしいのか。


「小さくて丸いものはいいですねぇ」

「…なんだっけ、それ、なんかで読んだ本に出てきたような」


「お、ご存知ですか。夜は短し歩けよ乙女！」

「あー、あったね。昔読んだ」



しかしあっづい。これが夏というものか。窓を開け、少しでも風を入れようと試みる。うん、無駄みたい。



「すみませんりぶさん、まだ扇風機出してなくて…」

「あー、いいよ。暑さも含めてね、楽しいし」


うっひゃーなんたる神対応。拝みたくなる気持ちをしまい、完成したたこ焼きたちを突っつく。あっつ。



「りぶさんは猫舌のイメージがあります」

「そう？そんなことないけど」

「ふーん」

「訊いといて興味なさそうだね」



いい夜だなぁ。なんなんだろう、りぶさんといる時のこの、妙なくつろぎは。



「りぶさん。いや、陸さん」

「ん？」


改まったのが可笑しかったのか、笑うりぶさん。


「これからも仲良くしてくださいね」


「…はは、なに急に。いやいや、もちろん」
　

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