九十九話 ページ10
私はそんなに性格がいいわけではない。っていうかむしろ悪い。
そんなことを今とても強く思う。
そうそう、前の方にとてつもなく重そうな本を持っている人がいるのだが、「私は困っている人がいたら助けるんだよね☆」みたいな性格ではない。
頑張れ〜、とか思いながら通り過ぎようとしたら急に体が動かなくなった。
くっ、私の中の隅っこにある良心の面が出てきようとしている……！！
……ため息をひとつ吐くと、仕方なく手を伸ばす。
「それ、手伝いましょうか？」
「……ああ、これですか？いえいえ、大丈夫ですよ。これ、見かけによらず軽いですから」
「軽いとか重いとかどうでもいいから、さっさとよこしやがれください」
「あの、日本語、間違って「あれ〜、すみません、よく聞こえない☆」あの、日本語、間(強制終了)」
っていうか、あれ？
この人、この前ピンク髪さんもとい斎宮先輩がいた手芸部の部室にいた眼鏡さんでは？？
えっ、なにこの偶然。(真顔)
とりあえず本を3分の1ほど受け取って歩き出す。いや重いやないかい。(謎の関西弁)
「よし、図書室に(行くらしい)着くまでに聞いておきます、お名前はなんですか？」
「俺ですか？俺は青葉つむぎっていいます」
「ふむ、2年では見かけたことがないし、3年ですか」
「はい、そうですよ」
3のBなんです〜、とのんびり言っている青葉先輩はいい人なようだ。
図書室
たまーに来たことはあるけど、本当にたまにしか来たことがない図書室。
どさっとカウンターに本を置く。
「本当によかったんですけど、ありがとうございます」
「前半の部分聞くとものすごく申し訳なくなるので前半は聞かなかったことにします。
いや、本当はするつもりなかったんですけど、ちょっとですね……」
「ああ……」
察しました、と青葉先輩は言う。話が早くて助かるぜ。
「あれ、青葉先輩に……田中先輩？」
奥の方からトテトテ(？)歩いてきたのは……紫乃くんか。
「あ、創くん。今、Aちゃんが本を運ぶのを手伝ってくれてたんです」
「必要ともしていないのに勝手に、を追加してください(切実)」
「？必要としていないのなら、なんで手伝ったんですか？」
「純粋な紫乃くんの瞳が痛い……」
「え、ぼ、ぼくの言葉が失礼だったのなら謝ります、すみません」
「いやいやいや、紫乃くんは失礼じゃないよ、ぜんっぜん」
物凄く申し訳そうにするので罪悪感がモクモク。
紫乃くんはまっっっっっったく悪くないよ、うん。
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作者名：サリー | 作成日時：2023年2月4日 14時
