弎拾 ページ32
「ごめんね」
「大将…?」
「ごめんね薬研。もう一緒にいられない」
「ま、待ってくれ大将……」
「元気でね」
「大将…俺っちは、あんたがいないと……」
「邪魔だよ薬研」
「!……ハァッ、ハァ…ッたいしょ、」
「何、まぁた怪我したの?全く、僕に迷惑かけないで?」
「ちが、違う、俺っちの大将は、お前じゃ、」
「は?じゃあ誰がお前の主だっての」
「ハァ、ハッ…A……大将、お前じゃ、な……」
「A?違うね、どうせあいつもすぐにいなくなるよ。人間と‘‘物”の寿命は違うんだ」
「たい、たいしょ、たい、しょ…ッ」
「お前の心の底には主だった僕が住みついてて、拭っても拭っても消えない。
お前が僕を恨めば恨むほど僕のことしか主だと認められなくなる。
お前があいつの事を好きだと思えば思うほどお前らの本当の意味での距離は遠ざかっていく」
「違う、違うッ」
「嗚呼、哀れだね……。お前はあいつを完璧に信用してない。
____お前は一生僕から離れられないよ」
・
・
・
ダダダダダ!と足音がする。
そしてスパン!と勢いよく襖が開けられて、次の瞬間には薬研が私に抱きついている。
泣きじゃくる薬研の背中をぽんぽんあやすように叩く。
薬研は痛いほどに力を入れて、しがみつく。
私の肩はべちゃべちゃだ。
「薬研、薬研、また怖い夢見た?」
「ハァッ、ハァッ、」
「薬研どんな夢見たの」
「大将が、いなくなって、あの審神者が、審神者が、」
「そっか。薬研、ここは本丸で私はここにいる。で、前の審神者はいない」
ぽんぽんとしながら話していると薬研の過呼吸かと思えるほどの激しく浅い呼吸がゆっくりと落ちつき、気づけば薬研は寝ている。
さて、粟田口部屋まで運ばないと。
なんせ薬研は朝起きると今起こったことはすべて忘れているのだから。
「薬研?薬研、どこにいるんだい?薬研?」
「あ……」
「!あ……」
▼Aは一期と遭遇した!
ラッキー男士
槍
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空と桔梗(プロフ) - 夕月さん» コメントありがとうございます。時間はかかると思いますが、ふるゆらを終えた後に流星を書きたいと思います。 (2016年5月31日 22時) (レス) id: faabd855d4 (このIDを非表示/違反報告)
夕月(プロフ) - ふるゆらを続けて終えた後に流星がみたいです (2016年5月31日 22時) (レス) id: 0a055286aa (このIDを非表示/違反報告)
空と桔梗(プロフ) - カルーさん» コメントありがとうございます。 (2016年5月31日 21時) (レス) id: faabd855d4 (このIDを非表示/違反報告)
空と桔梗(プロフ) - 柊椿さん» コメントありがとうございます。 (2016年5月31日 21時) (レス) id: faabd855d4 (このIDを非表示/違反報告)
カルー(プロフ) - 毎度、楽しく読ませて頂いております。できれば、続けて頂きたいです。 (2016年5月31日 21時) (レス) id: 9d53292aa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空と桔梗 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/Kuroraand/
作成日時:2016年4月25日 22時