弎拾壹 ページ33
「……」
「……」
ねえ、どうするの?この状況。
「薬研が無礼を……」
「あ、いえいえ……」
「……」
「……」
すすす、と加州清光の方へ後退りする。
この状況で私を護ってくれる人はいない。自分の身は自分で…。
一期さんが眉を八の字にして笑った。
「大丈夫ですよ。私はあなたを主だと認めています」
「え」
「薬研がそこまで信用しているのです。兄が弟を信用しないでどうしますか」
「は、はあ……」
わからない。この人の言っていることが嘘か本当か…。
…まだ、信用するべきじゃない。
私の背中に隠れた左手は加州清光を掴んだ。
「薬研が必死の形相で走っていくのが見えました」
ああ、薬研も粟田口……だから一期さん達と寝てたのか。
静かな夜にあの大きな足音はよく響いたから、他にも起きた人がいるかもしれない。
明日から近侍の薬研は私の隣の部屋にしようかな。
「薬研は以前にも?」
一期さんはすやすやと眠る薬研に目をやった。
「私の部屋にいたときはここまででは……。多分、本丸が、本丸で…えっと、」
「ああ、いえ。言いたい事は分かります」
その、本丸自体がトラウマなんじゃなくて、審神者がいた、えーと審神者といたこの本丸がトラウマ…トラウマの、悪夢の引き金…?
「主、薬研を受け取ります」
「ああ、はい…」
一期さんは去り際、にっこりと笑って「これからも弟をよろしくお願いします」と言った。
…あの人は、信じてもいいのか……?
ラッキー男士
槍
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空と桔梗(プロフ) - 夕月さん» コメントありがとうございます。時間はかかると思いますが、ふるゆらを終えた後に流星を書きたいと思います。 (2016年5月31日 22時) (レス) id: faabd855d4 (このIDを非表示/違反報告)
夕月(プロフ) - ふるゆらを続けて終えた後に流星がみたいです (2016年5月31日 22時) (レス) id: 0a055286aa (このIDを非表示/違反報告)
空と桔梗(プロフ) - カルーさん» コメントありがとうございます。 (2016年5月31日 21時) (レス) id: faabd855d4 (このIDを非表示/違反報告)
空と桔梗(プロフ) - 柊椿さん» コメントありがとうございます。 (2016年5月31日 21時) (レス) id: faabd855d4 (このIDを非表示/違反報告)
カルー(プロフ) - 毎度、楽しく読ませて頂いております。できれば、続けて頂きたいです。 (2016年5月31日 21時) (レス) id: 9d53292aa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空と桔梗 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/Kuroraand/
作成日時:2016年4月25日 22時