【刀剣乱舞】ふるべ ゆらゆらと

弎拾貮 ページ34

「たーいしょ」

「薬研」


学校から帰宅、自分の部屋(審神者部屋)に向かっている途中で薬研がひょいと顔を出した。
本当に、顔を出した。


「驚かないか…」

「あはは、天井から人降ってきたことあるから」

「天井から…？ああ、この前の鶴丸の旦那のか？」

「驚いたよね、敵(対してる刀剣)かと思った」


襖に手をかける。
今日も部屋に変化なし……


「なっ！？」

「三日月の旦那…あんた大将の部屋で何やってんだ？」


私達が見つけたのは私の部屋でポテチを食べてる三日月さんだ。

あ！てかそれ限定販売のポテチ…わざわざ現世に行って買ったのに……！
なんでこの人は私のお菓子を！それもポテチをことごとく食べるんだ！？


「おや…今日は随分と早いな」

「あ、今日は六時間目がなくて…」


ってなんで帰ってくる時間知ってんだ！


「この前食べたぽてち、が恋しくてな。探しておったら似たのを見つけた」


私のポテチ！


「旦那…嬉しそうに言ってるとこ申し訳ないがそのポテチは大将のだ」

「そうだったのか？それは悪い事をしたな、ああ、そういえば政府からもらった饅頭がまだ残っていたぞ」

「は、はあ」


ポテチの代わりがまんじゅうか……。
まあいいけど……それよりこの人なんでここに


「大将！」

「審神者、後ろだ」


少し切れた…というよりは斬られた右の手をぎゅっと押さえる。


「痛った……！」

「大丈夫か大将、三日月の旦那救急箱を取ってくれるか」

「あいわかった。これか？」


薬研は自ら(の刀)を抜きつつ私の手に包帯を巻くというなんとも器用なことをする。

血はドクドク出てはいるが薬研のとき同様あんまり深くない。むしろ薬研のときより深くない。
二人の声に反応してとっさに避けたのと、相手が大太刀で動きが遅かったからか。

大太刀……この子は蛍丸か。


「____国俊…返してよっ！」


困った……私はその国俊を知らないんだけど。
いや、短刀にそんな名前の子がいた気がする。

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