検索窓
今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:1,554 hit

さん ページ3

あれは俺達が16になる年だった。

いつものように手合わせしていつものように負けて。

村長の娘である香が隣村の男と結婚する事になったとAに聞かされた。

いつもより元気がないのはそういう事か、と合点がいった。

「そりゃ祝い事じゃねえか。なんでそれでお前が元気なくすんだよ?・・・寂しいのか?」

確かにそれもある。でも、とあいつは続けた。

「香さまがいなくなったら、私は、これから何を守るために生きればいいんだろう。
なんのために生きればいいんだろう。」

そこで俺は初めてAの強くなるための理由を、生きる理由を知った。


この時にはもう、俺はこいつのことを意識していたから、少しの寂しさと嫉妬とでよくわからない感情になっていた。








俺は、こいつの生きる理由になりたい。









でも俺はまだこいつには勝てない。

そんな力の無い俺がもどかしくて、今のAを抱きしめることも出来なくて。









今の俺には、




「そんなの決まってるだろ。
俺を守るために生きればいい。
俺の背中を預けられるのはお前だけだからな。」





こんな情けなくてずるい言葉しか言えなかった。







「・・・ふふ、蛮骨ってば生意気だねぇ」









それでもお前が笑ってくれるなら。





それでもいいと思えたんだ。









俺の隣でいつまででも笑っていてくれるなら。

よん→←に



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 7.8/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
6人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:唯一無二 | 作成日時:2019年7月28日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。