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いち ページ1

昔、まだガキの頃、村の子供の中で1番強い女の子がいた。

俺も男の子の中じゃ1番強くはあったがその女の子にだけはどうしても勝てなかった。



いつも手合わせをしては俺が負け、負け、負け。


その女の子は強いのに、弱い振りをしていた


川の下の子、とはよく言ったもんだがあいつもそれだった。

捨て子、みなし子というやつだった。
たまたま俺の村の村長に拾われ、以後その家の娘の世話をしていた。

村長の娘も俺もあの女の子とは同い年だったからよく一緒に遊んだもんだ。

でもそれが村長に見つかると女の子がいつも殴られたり蹴られたりしていてしばらく身体からアザが消えることは無かった。

そして俺たちは成長しいつしかあいつとも話すことが少しずつ、なくなっていった。

それでも剣の稽古だけは毎日欠かさずやっていた。
それも全部あいつに勝つため、あいつよりも強くなって、何があっても守れるくらい、









誰にだって忘れられねえもんはある。









それが1度守ると、一生守りたいと思った女ならば尚更。









守りたかった









守りたかった。









後悔してもあいつは帰ってこない。

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作者名:唯一無二 | 作成日時:2019年7月28日 17時

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